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令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月24日-03号

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  1. 栃木県議会 2021-02-24
    令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月24日-03号


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    最終取得日: 2022-12-22
    令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-02月24日-03号令和 3年度栃木県議会第384回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 2月24日(木曜日)  出席議員 42名   1 番      小 池 篤 史   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      あ べ ひろみ   8 番      中 屋   大   9 番      塩 田 ひとし   10 番      野 村 せつ子   11 番      相 馬 政 二   12 番      西 村 しんじ   13 番      小 菅 哲 男   14 番      小 林 達 也   15 番      平 池 紘 士
      16 番      高 山 和 典   17 番      吉 羽   茂   18 番      池 田   忠   19 番      琴 寄 昌 男   22 番      横 松 盛 人   23 番      加 藤 正 一   24 番      松 井 正 一   26 番      青 木 克 明   27 番      野 澤 和 一   28 番      山 口 恒 夫   29 番      白 石 資 隆   30 番      関 谷 暢 之   32 番      早 川 桂 子   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      佐 藤   良   37 番      山 形 修 治   39 番      山 田 みやこ   40 番      一 木 弘 司   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   47 番      螺 良 昭 人   48 番      三 森 文 徳   50 番      木 村 好 文   51 番      板 橋 一 好  欠席議員 2名   25 番      保 母 欽一郎   31 番      中 島   宏 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      末 永 洋 之   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   國 井 隆 弘   県民生活部長   千金楽   宏   環境森林部長   鈴 木 英 樹   保健福祉部長   仲 山 信 之   産業労働観光部長 辻   真 夫   農政部長     青 栁 俊 明   県土整備部長   田 城   均   国体・障害者スポーツ大会局長            橋 本 陽 夫   企業局長     琴 寄 行 雄   総合政策部次長兼総合政策課長            笹 川 正 憲   財政課長     小 林 宣 夫   教育長      荒 川 政 利 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     大 橋 哲 也   議事課課長補佐  諏 訪 勝 也   課長補佐     谷 平 正 治   副主幹      小 材 忠 宏   主査       手 塚 英里子   主査       青 木 和 之   主査       君 島 義 人   主査       関   敏 秀 ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は31名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第32号議案まで及び第34号議案から第60号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 皆さん、おはようございます。とちぎ自民党議員会の日向野義幸であります。新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されてから2年がたちました。長引くコロナ禍の中で、県民の命を守るため、身命を賭してご尽力をいただいております医療従事者の皆様、それを支える関係者の皆様に衷心より敬意と感謝を申し上げます。また、先の見えない現状の中で、感染防止対策にご協力をいただいております事業者の皆様、県民の皆様に心から感謝を申し上げます。一日も早い終息を祈りつつ、質問に入ります。それでは、知事をはじめ執行部の皆様におかれましては、誠意と熱意あるご答弁をお願いし、順次質問してまいります。  まず、昨年に引き続き、DXの推進について知事にお伺いいたします。現在、国においては、デジタル庁を司令塔に、誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向け、各府省庁一丸となって行政のデジタル化をはじめとした各種取組を進めているところであります。本県においては、昨年度、県議会等の意見も踏まえ、本県デジタル化の指針となるとちぎデジタル戦略を策定し、その推進に当たり外部からCMOを登用し、デジタル化の推進役として、民間人材の知見を最大限に生かしながら、戦略に掲げた様々な取組を実行しているところでございます。あわせて、昨年10月には、デジタルにより地域の様々な課題解決を進める仕組みとして、とちぎデジタルハブがスタートいたしました。本日の朝の時点で、登録メンバー数は145人、加えて13件の様々な地域課題が投稿されたところであります。今後、これらの課題に対する実証実験などが進む中、地域に新たな価値観が生まれたり、企業と地域が協働して課題解決に乗り出したり、県や市町が行政課題として取り組んだりなど、事業の進展を大いに期待しているところでございます。DXは、広義的には社会構造の変革を意味するものであり、その推進役を担う県庁が、デジタル化の進展と相まって、県民に対し率先して組織の改編や業務の効率化、政策決定の見える化など、構造変革の象徴としての役割を果たすべきであると考えております。また、重要施策の立案過程においても、政策の目的を明確にした上で、合理的根拠を示すEBPMの観点を取り入れることも大変重要なことと考えております。  そこで県は、県民のよき手本として、まずは足元である栃木県庁のDXをどのように進めていこうとしているのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの日向野議員のご質問にお答えいたします。本格的な人口減少社会の到来や頻発する大規模災害、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等、社会は克服しなければならない大きな課題を抱えておりますが、こうした課題に迅速かつ的確に対応するためには、デジタル技術を積極的に活用し、社会全体のデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを推進することが重要であると考えております。  こうした中、県では昨年度とちぎデジタル戦略を策定し、住民や企業、大学、市町など、様々な立場の方々とともにデジタル化に取り組むことといたしました。現在、産学官で連携・協働するとちぎデジタルハブを通じて、地域に新たな技術やサービスを創出し、地域課題の解決に取り組んでおりますが、県内におけるDXを一層推進していくためには、まずは県庁内部のDXが必要でありますことから、先般、CMOの知見も生かして栃木県庁DX推進ビジョンを策定したところであり、働きやすい情報インフラの整備、業務プロセスの改善、職員の意識変革を三本柱に業務環境の改善を図ってまいります。具体的には、モバイル型パソコンの配備等により、どこにいてもつながる、働ける環境を整備いたしますとともに、業務フローの見直しやICTツールの活用等により業務の効率化を進めるほか、職員一人一人の主体的な取組に向けた意識の醸成を図るなど、デジタル戦略課行政改革ICT推進課を中心として県庁のDXを推進してまいります。  今後とも、客観的で合理的な根拠に基づく施策立案手法であるEBPMの観点も取り入れながら、県民目線による施策立案の強化や、便利で質の高い県民サービスの提供などの県庁での取組を皮切りに、Society5.0の実現に向け、本県のDXを推し進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 県庁がビジョンを策定し、しっかりと手本を示し、社会変革の先頭に立っていくという知事の決意と道筋を示していただきました。ご案内のEBPMの活用は、昨年、我が会派の渡辺幸子議員もその必要性について言及されましたが、まさに政策立案の過程を行政データという明確な情報を裏づけとして、その有効性を明らかにしていくことは、行政と県民との距離を縮め、行政への信頼を確立する一番の近道であると考えております。まずは、その評価の基礎となる様々な行政データを一元化し、政策立案の選択肢のバロメーターとして活用できるネットワークの構築が必要だと考えております。また、この政策手法を進めるためには、専門性を持った人材の確保とそれを動かす新たな組織が必要であります。ぜひそれらを具現化するための仕組みづくりと、それを支える人材育成に積極的に取り組んでいただきますよう要望いたします。行政が持つ情報データは、DXが進展する社会において無限の可能性を秘めた宝物であります。近い将来、この取組が県庁内部の思考改革や組織改革につながり、行政の情報データと民間活力を生かした幅広い行政サービスの展開を期待し、次の質問に移ります。  とちぎの文化資源の保存活用について、県民生活部長にお伺いいたします。近年、生活様式の変化や少子高齢化の進行に伴い、地域に根差した祭りや伝統芸能の担い手不足が深刻化する中、新型コロナウイルス感染拡大の影響も相まって、技能の引継ぎが困難になるなど、広い意味での地域文化の保存、継承が急務となっているところでございます。また、財政的な厳しさが増す今日、国や地方自治体が文化財や文化資源を守ることもままならない状況が続いております。地域の文化資源は、有形無形を問わず、その地域の歴史や生活、慣習など、人々の営みを今に伝える貴重な財産と言えます。そのような中、令和4年度一般会計当初予算にデジタル化で残し伝えるとちぎの文化発信事業費として7,000万円余が計上されました。まさに地域の文化財や文化資源をデジタル情報として保存し、地域の活性化に活用しようとするものであり、地域文化の保存の担い手である地方公共団体が行うことに大いに期待をしているところでございます。総務省では早くからデジタル・ミュージアム構想という考え方を示し、失われつつある地域の文化財や歴史的遺産、文化資源などを半永久的に劣化することなく保存し、デジタル化、ネットワーク化する重要性を示していたところであり、また、昨年度から文化庁では、文化観光という新たな考え方を提示し、地域の文化資源を観光に生かして人を呼び込む取組を始めているところであり、この事業はそうした大きな流れを踏まえたものと考えております。  そこで、県内の文化資源をどのような基準で選定し、デジタル化していくのか、また、市町の美術館、博物館等とのネットワークをどのように構築していくのか、加えて、デジタルアーカイブについては、観光だけに限定されることなく、地域のアイデンティティーの確立など地域の活性化に幅広く活用すべきと考えますが、県民生活部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の貴重な文化資源の後世への継承と文化による地域活性化を図るため、新年度から文化資源をデジタルで保存し、その活用に取り組むことといたしました。具体的には、国や県指定の文化財や県立博物館等の収蔵品を中心に、県と市町で構成する協議会で議論を重ねて対象を選定し、高精細画像や3D等によるデジタル保存を図り、ウェブ上での魅力発信や博物館等でのデジタル技術を生かした分かりやすい展示等に活用いたします。また、この協議会等を通じて、県内市町の博物館等との連携を強化し交流や情報発信を促進しまして、各施設への誘客増も目指してまいります。  今後は、観光事業者と連携して文化観光の推進に生かしますとともに、学校へのデジタル教材としての提供や文化団体の後継者育成の支援など様々な分野への活用を図り、郷土愛の醸成や地域活性化につなげてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 地域にある文化資源は、その地域のアイデンティティーそのものであります。稼げないからといって埋もれたままにしたり、捨てたりしてはならない大変貴重な宝であると考えております。この事業は、デジタルという戦略的な手法を駆使して、地域の文化資源に付加価値をつけて魅力あるものに進化させていくものだと考えております。将来的には、地域の文化資源に磨きをかけ、観光や地域の振興を図りながら、そこから生まれた果実で文化資源の保護、継承が進められ、教育や福祉といった幅広い分野で生かされることを強く期待し、次の質問に移ります。  カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組についてお伺いいたします。我が会派の木村好文議員からの代表質問に対し、カーボンニュートラルの実現に向けた知事の強い決意が表明されました。令和4年度一般会計予算においても関係各部による本県のロードマップ案に呼応した事業が計上されており、いよいよ脱炭素社会実現に向けた具体的な取組がスタートされたところであります。そこで、関係各部の役割とその具体的な取組についてお伺いいたします。  まず、環境森林部長にお伺いいたします。県がまとめた2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ(案)では、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比50%削減するという高い目標と、その実現に向けた分野ごとの取組の方向性に加え、各分野の取組を牽引、加速化するための4つの重点プロジェクトが示されたところであります。  私は、カーボンニュートラルの実現に向けては2つの重要な視点があるのではないかと考えております。1つは、省エネの徹底により温室効果ガスの排出削減を進めること、もう一つは、再エネの導入拡大によりクリーンなエネルギーをつくり出していくこと、この2つをいわば車の両輪としてしっかりと進めていかなくてはならないものと強く感じております。そしてまた、取り組み方も大きく分けて二通りあり、市町や民間事業者、地域住民等が協働して脱炭素化に取り組む面的な取組と、個々の家庭や事業者がそれぞれ脱炭素化に取り組む点の取組が考えられます。こうした中、県内でも上位の排出事業者である県庁が省エネの徹底と再エネの導入に率先して取り組んでいくことは、市町はもとより、個々の家庭、事業者にとってもモデル、お手本となるものであります。  県は、新年度から4つの重点プロジェクトの一つであるとちぎ県庁ゼロカーボンプロジェクトの具体化に向け、県有施設の省エネ改修に加え、公用車のZEV化や県有施設への太陽光発電導入に向けた基礎調査などに取り組むと伺っております。執行部には、この県庁率先プロジェクトは、単なる一事業者としての取組ではなく、県全体に脱炭素ドミノを広げていく大変重要な役割を有するという意識の下、積極的にこれを推進していただきたいと思います。あわせて、私は、プロジェクトの高い目標を達成するためにはスタートダッシュが肝心であり、新年度にスピード感と実効性のある具体的なアクションプランを策定していくことが重要であると考えております。  そこで県は、今後どのように県庁率先による取組を進めていこうとしているのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。ロードマップに掲げた目標の達成に向けましては、旗振り役であり、大規模排出事業者でもある県が率先して取り組む必要がございます。また、県は様々な規模や機能の施設を有しておりますことから、それぞれに応じた多様な手法で脱炭素化を進めることにより、市町はもとより、家庭や中小企業等にとっても参考となる具体的な取組事例をお示しすることができるものと考えております。  このため、新年度は、引き続き県有車両へのEVのさらなる導入を図りますとともに、県有施設の省エネ改修を加速化することといたしました。さらに、EVや太陽光発電設備等の導入による省エネの徹底とクリーンエネルギーの創出に向け、費用対効果の検証などの総合的な調査を行い、中間目標や具体的取組を盛り込んだアクションプランの策定につなげるなど、県庁率先の取組を計画的、効率的に進めてまいります。  こうした取組の成果につきまして、セミナーや動画配信などにより分かりやすくお示しするなど、家庭や事業者など様々な主体の自主的な取組を促し、県全体への脱炭素ドミノの拡大に向け積極的に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 環境森林部長からは、アクションプランを作成し、県庁率先による積極的な取組を進めていく旨、ご答弁をいただきました。課題意識の共有化や計画の実現に向けて具体的な工程表を示すことは大変重要なことであり、大いに期待をしております。ロードマップやプランの作成過程で、2050年のカーボンニュートラルに向けた中間目標として、2030年における削減目標が話題になることが多くなりました。しかし、1%の削減の重みは基準年の排出量次第で変わるため、単なる数値の比較は私は意味をなさないと考えております。必要なのは、どのようにしてその目標を達成するのかという議論であり、まさしくそれを牽引するのは、地域特性を熟知した地方自治体にほかならないわけであります。しかし、現在の市町のカーボンニュートラル推進の現状は、人的、財政的な差異の広がりや、取組に対する意識格差からその取組の明暗が分かれるような状態が続いており、県民総ぐるみとは程遠い状況にあります。  そこで、中間的自治体である県が自らの調整機能を発揮し、どのように市町の地域間格差を埋めようとしているのか、環境森林部長にお伺いいたします。
    ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。県では、ロードマップの策定に当たりまして、市町村長会議などの場を通じて、その理念、あるいは取組の方向性等についてご説明させていただきました。  今後につきましては、県といたしましては、県庁率先と、それから、他の地域に先駆けていち早く脱炭素化を実現するモデル地域の創出、この2つの重点プロジェクトを柱として市町の取組を牽引、加速化してまいりたいと考えております。まず、県がこうしたプロジェクトに取り組みまして、その成果やメリットなどを様々な場を通じて市町の皆様にお示しします。それから、それぞれの市町で抱える課題は様々でございますので、個別のご相談等にも積極的に応じてまいります。いわばこうしたハンズオン型の支援を積極的に実施することによりまして、県内各市町の地域特性に応じた主体的な取組を促進してまいりたいと思います。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) ぜひ地域間の温度差をしっかり埋めるような施策対応をしていただきたいと考えております。  次に、カーボンニュートラル実現に向けた産業分野における取組について、産業労働観光部長にお伺いいたします。本県のエネルギー由来のCO2排出量は、産業分野全体で36%を、交通分野が全体の30%を占めており、この2分野で全体の66%を占めている状況にあります。 全体の排出総量の割合から見ても、産業と交通の2分野のCO2排出量削減に積極的に取り組まなくてはなりません。特に産業界における国際的な脱炭素化の機運が高まる中、国においては、2020年12月に2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定いたしました。この戦略では、従来の発想を大きく転換し、積極的に政策を行うことが産業構造や社会経済の変革をもたらすとし、今後、成長が期待される産業分野として、14の分野で高い目標を設定したところでございます。また、世界的な脱炭素化の流れの中で温暖化への対応を成長の機会と捉える時代が到来してきており、脱炭素化への取組をきっかけに、これまでにない新しい技術開発や新産業を創出するなど、次なる大きな成長につなげていくことが重要であります。世界的に自動車の電動化やサプライチェーン全般における脱炭素化に向けた動きが進む中にあって、県内企業においても、こうした脱炭素化の潮流を的確に捉えて対応していくことが不可欠なものになっております。このため、全国有数のものづくり県である本県が、その優れた技術や産業集積といった強みを生かしながらイノベーションを促すことで、県内企業の競争力強化につなげ、本県経済の特性を生かしたさらなる発展を実現させる必要があると思うのであります。  そこで県は、脱炭素化を契機とした力強い産業の成長を図るため、カーボンニュートラルの実現に向けて産業分野における取組をどのように進めていくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。世界的なカーボンニュートラルの流れを本県産業の成長につなげるためには、産業界との共通認識を持って脱炭素化を推進することが重要でありますことから、ロードマップを踏まえました産業分野の取組の方向性や支援策を示す指針を策定いたしまして各種施策を展開してまいりたいと考えております。指針では、国がグリーン成長戦略に掲げた14の成長分野につきまして、本県の産業集積などの強みを踏まえました基幹産業、市場の伸び等により今後の成長が期待できます次世代産業、将来に向け産業の新たな芽を創出いたします萌芽産業の3つに分類いたしまして、施策の効果的な展開を図ってまいります。  また、事業者への支援に当たりましては、各事業者の取組方針や熟度は様々でございますことから、機運醸成・環境整備、技術開発支援、新産業の創出・育成、そして企業誘致・定着強化の4つを施策の柱といたしまして、それぞれ具体的な支援内容を示した上で、個々の事業者の取組状況やニーズに応じた適切な支援を行いますとともに、産業集積の促進にも積極的に取り組んでまいります。  今後、とちぎカーボンニュートラル実現会議の下に産業部会を設置いたしまして、産業界の意見も伺いながら施策を効果的に展開いたしますことで、脱炭素化を契機といたしました県内企業の競争力強化と本県産業の力強い成長につなげてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 産業労働観光部長から、カーボンニュートラルの実現に向けて、具体的な支援内容や、しっかりとした制度設計をしながら産業の成長を目指していくという力強いご答弁をいただきました。  それでは、ここでグリーン化、デジタル化の潮流を捉えた戦略的な産業振興について再質問させていただきます。国は、グリーンイノベーションが加速する今後10年間が国内産業再構築の大きなチャンスとしております。政府が掲げるグリーン成長戦略では、DX、EV、自動運転、ポスト5G、スマートシティ、脱炭素などを重点的に推進するとし、それらを稼動させるための中心的な役割を果たす素材が半導体であります。  そこで、無限の可能性を持つ半導体関連産業に集中的に力を注ぎ、グリーンイノベーションを牽引する先進的な県として踏み出す考えはないか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。  半導体はあらゆる電子機器に使用され、今後ますます需要の拡大が見込まれております。グリーンとデジタルを同時に進める上でも重要な産業であると認識しております。  現在、本県には半導体を最終的に製造する企業はございませんけれども、製造装置や材料などの関連企業が立地しておりまして、中には世界的に高いシェアを有する企業も存在しております。こういったことから、本県はその高いポテンシャルを有していると考えております。  このため、今後、これらの企業のニーズの把握等に努めまして、研究開発や技術開発の支援を行うなど、半導体関連企業の操業環境の向上に努めますとともに、他分野からの参入の促進や関連企業の誘致を進めることで半導体関連産業の集積を図りまして、本県における新たな成長産業となるよう積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 産業労働観光部長からご答弁をいただきました。経済産業省は、日本企業による半導体の売上高を、5Gや自動運転など、デジタル革命の発展と社会のグリーン化の進展により、2020年の4兆5,000億円から2030年には13兆円まで増やす目標を示しております。私は、半導体関連の企業誘致については昨年の一般質問でも取り上げ、積極的、戦略的な企業誘致の考え方を知事にただしたところでございます。直近では、茨城県筑波研究学園都市にTSMCの研究施設が、熊本県にはTSMCの受託生産をする工場がソニーグループの出資により誘致されております。本県の産業特性からは、半導体生産に不可欠な製造装置産業や、それに伴う部品メーカーと合わせて、半導体の基板材料や感光性樹脂などの素材製造メーカーが多数立地をしており、まさに半導体製造の供給基地としてなり得るだけのポテンシャルを持っていると考えております。ぜひグリーンイノベーションを牽引する半導体関連産業の先進県を目指していただきますよう強く要望し、次の質問に移ります。  農業分野におけるカーボンニュートラルの取組について、農政部長にお伺いいたします。近年、気象災害の頻発や高温による農作物の収量、品質の低下、病害虫の多発など、気候変動の影響が農業分野においても顕著になってきたと感じております。県の調べでは、2018年度の温室効果ガス排出量は県全体で1,744万トン、そのうち農業生産に由来する非エネルギー分野の排出量は83万トンとなっており、工業分野に比べて少ないものの、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減に向けた取組は県民が一丸となって取り組んでいくべきものであり、農業分野においても積極的に取り組むべきものであると考えております。こうした中、国では、持続可能な食料システムの構築に向けて、中長期的な視点に立って、調達、生産、加工、流通、消費の各段階の取組と、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進するため、みどりの食料システム戦略を策定し、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現を目指すこととしております。県が策定中のロードマップ案においても、廃プラスチック等のリサイクルの促進など、農業分野における温室効果ガス削減に向けた取組が示され、令和4年度当初予算にもとちぎグリーン農業推進事業費が計上されたところでございます。私は、こうした環境負荷軽減の取組は、農業の持続的な発展には欠かせないものであり、その効果を着実なものとしていくため、現状をしっかりと分析し、本県農業の特性を生かした取組を進めていくべきであると考えております。  そこで県は、農業分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けどのように取組を進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。農業分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けましては、農業者はもとより、広く県民の理解と共感を得ながら取組を進めていくことが重要でありますので、国のみどりの食料システム戦略に即して、新年度に県が策定いたします基本計画の中で目指すべき姿や目標を明らかにし、生産から消費に至る各段階において施策を展開していくこととしております。具体的には、本県農地の8割を占める水田に着目し、水稲の生育過程で発生するメタンの削減技術について国と共同研究を進めますとともに、新たな吸収源対策として、もみ殻を原料とした炭を農地にすき込み、炭素を土壌中に固定化し、貯留する技術などの開発、実証に取り組んでまいります。また、環境に配慮して生産された農産物に対する消費者の意識や購買動向等を調査、分析し、理解促進の取組に生かしてまいります。  今後、農業者をはじめ、農業団体、市町、民間企業などが参画した協議会を設立いたしまして、着実に推進してまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) ぜひ農業分野においてもしっかりと取組を進めていただきたいと思います。特に、国との共同事業をスタートされるとお聞きしておりますので、ぜひその成果を広く検証していただいて、次世代の取組に広げていただきたいと考えております。  さて、カーボンニュートラル実現の取組について、関係3部にわたり質問を展開いたしました。ご案内のように、カーボンニュートラルは人類がこれまで経験したこともない壮大な課題であることは疑いようがありません。それでも、カーボンニュートラルを成長機会として前向きに捉え、地域特性に合った戦略を立案することが今、地方自治体に求められているわけであります。外部環境に振り回されることなく、地に足をつけた方向性を明確に示し、強いリーダーシップを持って地域を牽引していく、そのためにも部局横断的な組織の改編と人材の育成を早急に進め、市町に対する適切な情報提供と伴走型の支援を強く要望し、次の質問に入ります。  農業人材の確保・育成・定着について、農政部長にお伺いいたします。今年度、農林環境委員会では、地域農業を支える担い手の確保を特定テーマとして調査研究を進め、先頃報告書を提出させていただいたところであります。委員会においては、近県と比べ農業以外の業種から就農する人材が少ない傾向にある要因分析など、本県の新規就農者の受入れ体制や就農に当たっての支援策の在り方などが議論されました。報告書では、新規就農者に対する創業資金や設備資金、住居等の生活面まで含めた総合的な支援の必要性を提言したところであります。県は、委員会からの提言を受け、令和4年度一般会計当初予算に農業で働く人材確保・定着支援事業費3,200万円余を計上し、農業の労働力不足を解消するための多様な人材確保、定着を強化することとしております。  農林水産省の農林業センサスによりますと、2020年の県内の基幹的農業従事者数は約4万3,000人で、20年前の2000年よりも約4割減少いたしました。平均年齢も上がり続け、2020年には基幹的農業従事者数の約7割を65歳以上が占めている現状にあります。加えて、農業後継者の就農が3年連続して減少しており、今後も基幹的農業従事者の減少が進行することを危惧しているところでございます。また、産業全体で労働力が不足する中、経営規模が小さく、他産業との人材獲得競争で苦労している現状もあり、この5年間で常雇い、臨時雇いとも減少し、既存の農業者が規模拡大を図る上での大きな障害となっております。  このような中、本県の農業生産を維持していくためには、農家後継者の就農はもとより、県外や他産業からの参入など、新規就農者を確保・育成していくことや、現在の農業者の経営規模拡大を図るための力となる雇用労働者を確保していくことが何よりも重要であります。そのためには、本県で農業に取り組む魅力や、立地、営農条件、支援策などのメリットを、農業に関心を持つ多くの方々に広く効果的に情報発信を行い、様々な人材の掘り起こしに積極果敢に取り組んでいくべきであると考えております。また、雇用される側の希望する労働条件が多様である一方で、農業者側は、収穫時期は早朝から働いてもらいたいなどの要望があり、それぞれのニーズに応えられるような仕組みづくりも必要だと考えております。  そこで、新規就農者や雇用労働者など、農業で働く多様な人材の確保・育成・定着を図るため、どのように取り組んでいくのか農政部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。農業で働く人材を確保・育成し、定着させていくためには、農業の魅力や様々な情報を幅広く伝え、県内外からより多くの人を呼び込むとともに、個々のニーズに即してきめ細かく支援していくことが重要であると考えております。このため、ウェブサイトを一新し、本県で活躍する先輩農業者のインタビュー動画の配信や、自分に合った働き方を探せるオンライン診断の導入等により、農業で働く意欲を高め、具体的な相談につなげてまいります。さらに、県と市町、関係団体が相談者の情報を一元的に共有した上で、農地や住居などの必要な情報をパッケージにして提供し、最適な働き方が見つかるまでの相談等にワンストップで対応するオーダーメード型の支援によりまして、新規就農や雇用労働に結びつけていくこととしております。また、確実な定着に向けましては、新規就農者の技術習得や機械、施設等の整備を支援するほか、農業者、雇用労働者双方の求める条件等を調査、分析し、働く環境の改善を促進するなど、切れ目なく支援をしてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 農政部長から、就農希望者へのオンラインによる生活相談体制の整備のほか、多様な就農ニーズに対応できるよう幅広い人材の参入を進めるオーダーメード型支援体制の推進の考え方が示されました。大いに期待しております。その受皿となる農地の集積化や収益率向上のための農業法人の支援拡大に加え、兼業でも農業に参入できる新たなマッチングモデルの構築などもぜひ進めていただきますよう要望させていただき、次の質問に移ります。  医療的ケア児及びその家族に対する支援の在り方について、保健福祉部長にお伺いいたします。令和3年9月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、本年1月には、緊急時の往診や学校との連携、各支援機関との情報の共有など、より具体的な支援強化策が明らかになったところであります。県は、新年度予算に医療的ケア児・家族支援事業費として2,700万円余を計上し、支援センターの設置や支援を行う人材の育成・確保及び施設等の設備整備の助成事業など、国の事業支援に呼応した予算を計上いたしました。医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童とされ、専門的な医療機関に頼らざるを得ない当事者や家族は、地域社会の中で日常的な関係性を確立することが難しい状況にあるわけであります。  こうした状況を受け、県は、平成28年度、令和元年度と2度にわたり医療的ケア児の実態調査を実施し、その結果、ゼロ歳から20歳未満の医療的ケア児は288人でありました。しかし、この医療的ケア児の人数と日常生活の現場で医療的支援を要する子供たちの人数では乖離があると考えられ、潜在的な支援需要は相当数あると思われます。また、緊急時に家族を支える医療型短期入所事業所は県内6施設にとどまり、うち専用に病床が確保されている併設型は3施設だけであり、受け入れられる地域の偏在性が顕著に現れ、県内のどこに住んでいても安心して医療的支援が受けられる環境整備が急務であります。住み慣れた地域社会の中で、健常児と同じように地域に認められ、共に生活をし、適切な支援を受けながら地域の学校に通えることは、医療的ケア児を支える全ての家族の願いでもあります。法律の制定を契機に、医療的ケア児及びその家族の日常・社会生活を社会全体で支援ができる仕組みづくりと、個々の状況に応じ切れ目なく支援が行われる体制の整備が望まれております。  そこで県は、法律に定められた支援措置を具体的にどのように進めていく考えなのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。これまで県では、医療的ケア児支援のため、短期入所施設の整備促進や適切な支援をコーディネートできる人材の養成等を進めてまいりました。新年度からは、新たに介護職員等を対象に喀たん吸引等研修の受講費用を助成することで専門人材を養成し、より身近な障害福祉サービス事業所等での受入れ促進を図ってまいります。また、本年7月を目途に、支援実績のある法人への委託により医療的ケア児支援センターを設置し、県内の実態を把握しながら、家族等からの相談対応や交流会を開催するほか、医療、福祉、教育等の支援に関わる団体等のネットワーク構築に取り組んでまいります。  今後とも、医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活できるよう、市町や関係機関等と連携し、社会全体で支援できる仕組みづくりを進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) それでは、保健福祉部長に再質問を行います。施行された支援法では、医療的ケア児とその家族の生活を社会全体で支えるため、国や地方自治体にその責任があると明記されております。その趣旨を理解し、いち早くワンストップで家族の相談に応じる支援センターの設置や、支援を支える人材の育成・確保に乗り出したことは高く評価をさせていただいております。しかし、住み慣れた地域社会の中で医療的ケア児とその家族が生活をしていくためには、関係支援機関による医療的ケア児の情報の共有化や地域包括ケアシステムとの連携強化、さらには診療所、訪問看護ステーションとの在宅支援の仕組みづくりなどなど、取り組まなくてはならない課題が山積しております。また、学校現場においても、主治医と学校医、保健師との情報の共有化の仕組みや送迎時の付添い、看護師の配置計画など、医療的ケア児を支える支援環境は様々で、一人一人の特性に合わせた支援計画をどこがつくるのか、地域間格差のある医療資源やマンパワーをどこが補っていくのかなど、それぞれの課題をどのように解決していこうと考えているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。医療的ケア児が地域で安心して生活していくためには、身近な市町を中心とします関係機関が連携して包括的な支援を行うことが重要でございます。そのため、新年度に設置を予定しております医療的ケア児支援センターにおきましては、地域における課題やその課題に対する取組の好事例などにつきまして情報を収集し、市町関係機関等と情報共有を図りますとともに、必要な人材の育成を図るなど、地域における連携強化と、それから地域のコーディネーターを中心とします個別支援をサポートしてまいりたいと考えております。  また、ただいまご指摘を頂戴しました課題等を含めまして、支援センターが今後把握いたします課題等につきましては、外部委員を構成員とします検討組織や庁内ワーキンググループなどの場を通じ、どのような対応が可能なのか多角的な視点から検討を行いまして、市町関係機関に寄り添った支援ができますよう努めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 居住地域にかかわらず、医療的ケア児の日常生活、社会生活を社会全体で支援し、地域社会の一員として、本人とその家族の尊厳を守りながら生き生きと生活ができる環境をぜひ実現していただきたい、その思いを込めて、次の質問に移ります。  本県の強みを生かした防災・減災、国土強靱化の取組について、知事にお伺いいたします。近年、気候変動の影響により気象災害は頻発化、激甚化しており、本県においても平成27年9月関東・東北豪雨に続き、令和元年東日本台風による豪雨と2度にわたる豪雨災害に見舞われ、県民の命と財産が脅かされたことは記憶に新しいところでございます。現在、それら被害の復旧・復興と生活再建に向けた取組が全庁を挙げて進められており、ありとあらゆる施策や事業を総動員して安全・安心な県土づくりに邁進しているところであります。加えて、知事公約でもあります流域治水の考え方を生かした美しい郷土を守るための「100年治水プロジェクト」の推進をはじめ、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策でも、急激な気候変動による気象災害に対応するための事業が目を引くようになりました。そもそも国土強靱化の経緯は、1959年の伊勢湾台風で防災の概念を、1995年の阪神・淡路大震災で減災の推進を、そして、2011年の東日本大震災で国土強靱化の取組に着手し、最悪の事態を念頭に、平時から備えを行うことを国家プロジェクトとして進めることとしたわけであります。  現在、気象災害が頻発化、激甚化する中で、その対応に追われる状況にはありますが、国土強靱化の目的の一つである震災対策にしっかりと向き合い、事前の備えを進めることにより、本県の強みを最大限に生かした県土づくりができると考えております。例えば、被災時に物資の供給、搬送に有効に機能する緊急輸送道路の整備や、公共施設や民間施設を活用した災害物資の集積拠点の設置、被災者受入れのための施設の供用化、インフラ復旧までの期間にエネルギーや食料、飲料水等をエリア内で循環供給できる仕組みの構築など、大規模な地震が比較的少ないとされる本県の地の利と強みを生かした戦略的な取組にぜひチャレンジしてほしいのであります。いつ起こってもおかしくない南海トラフ地震や首都直下地震の脅威が迫る中、今こそ震災に強いとちぎづくりを進め、南海トラフ地震や首都直下地震の受皿ともなり得る事前防災対策に力を注ぐことで、さらに本県の魅力を全国にアピールできると確信しております。  現在、県では、知事が政策集に掲げ、検討中と聞いております総合防災拠点の整備をはじめ、地震に対する様々な施策を展開し、県民の安全・安心に資する取組を進められていることと思います。こうした取組を全国に発信していけば、本県への移住・定住促進につながり、さらには、東京一極集中の弊害を是正するための首都機能や政府機能の移転候補地として再び脚光を浴びることになると考えております。  そこで県は、大規模災害を見据えた戦略的な防災・減災、国土強靱化の取組についてどのような考えを持って進めていくのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。近年の頻発、激甚化する気象災害に加え、首都直下地震等の発生が現実味を帯びる中、いかなる大規模自然災害におきましても県民の命と暮らしを守るため、栃木県国土強靱化地域計画に基づき、防災・減災、県土強靱化対策等を総合的に推進してまいりました。加えて、発災時の危機対応力を強化するため、県、市町、防災関係機関等が緊密に連携し、的確に対応できるよう、過去の災害から得た教訓等も踏まえながら、全庁を挙げて対策の充実を図ってきたところであります。特に地震対策につきましては、東日本大震災の教訓も踏まえ、人的被害や建物被害等の減災目標と、その目標を達成するために取り組むべき減災対策を柱とした栃木県地震減災行動計画を策定し、住宅等の耐震化、土砂災害対策、物資の備蓄・調達体制の整備等の幅広く多様な対策にしっかりと取り組んでいるところであります。  一方で、県内での大規模災害や首都直下地震などの国難級の災害が発生した場合には、的確な被災地支援が求められることから、全国から提供される救援物資の集積拠点機能と、消防、警察など応援部隊の活動拠点機能を備えておくことが必要であると考えております。このため、総合的な防災拠点の整備をさきの政策集に盛り込み、現在、拠点の機能や在り方につきまして、関係機関との連携や既存施設の活用、平時における住民の防災教育機能なども含めて検討を進めているところであります。  豊かな自然に恵まれ、東京圏に近接し、交通の要衝としての地理的優位性を有する本県が、こうした強くしなやかで安全・安心を実感できる栃木を実現することで、その強みを全国に発信し、選ばれるとちぎを目指してまいります。 ○阿部寿一 議長 日向野義幸議員。    (33番 日向野義幸議員登壇) ◆33番(日向野義幸議員) 知事には、総合防災拠点の整備について力強いご答弁をいただきました。昨年3月には、内閣府において平成25年12月に策定された首都直下地震及び南海トラフ巨大地震の被害想定と合わせ、被災者支援のための受援計画が示されました。都心南部直下地震では、想定震度をマグニチュード7.3とし、死者は最大で約2万3,000人、全壊・焼失家屋は約61万棟と試算され、避難者数に至っては最大約720万人に上るとされております。また、想定される被害規模の不確実性も明らかにされました。加えて、被災時の緊急輸送ルートの設定や帰宅困難者の受入れ態勢の整備など、東京、神奈川、千葉、埼玉、1都3県における相互支援体制の考え方が示されたところであります。専門家の見解によれば、政府の予想をはるかに超え、想定死者数は約10倍に、避難者数の受入れも、それに対する食料やエネルギー支援もとても近郊では賄い切れるものではなく、広域的な自治体のバックアップ体制がなければ想定される被害を乗り切るすべはないとされております。ぜひ、現在検討を進めている総合防災拠点の整備に、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の受入れを前提としたプッシュ型の支援体制の整備と併せ、被災者を受け入れる供用施設や支援体制の整備をしっかりと位置づけ、本県の強みを全面的に打ち出していただきますようにお願いをいたします。  全ての私の質問が終わりました。DX、脱炭素化社会は、現在、世界の潮流であります。知事は、令和4年度当初予算案の記者会見において、時代の変革を促す開化予算と自ら命名し、新型コロナウイルス感染症対策の守りと、DX、カーボンニュートラルを前面に打ち出した攻めの未来志向型の予算編成方針を明らかにしました。やはりこれからが自治体の腕の見せどころ、費用対効果をしっかりと検証し、事業の選択と集中、さらには期間を決めて人、物、金を集中的に投下し、時代の潮流に乗り遅れることなく、しっかりと新たな社会変革を進める推進役として、県がその役割を果たしていただきたいと考えております。コロナ禍の中で先行きの見通せない世相にあって、ぜひ希望の光となる県政運営をこれまでにも増して進めていただきますよう期待を申し上げ、全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時1分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は30名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時15分 開議 ○佐藤良 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 静和の会の相馬政二でございます。私は、これまで地域に根差した県議会議員をモットーに11年間議員活動を行ってまいりました。私の地元は那須塩原市でございますが、那須町を含め栃木県北といえば、那須御用邸をはじめ、塩原温泉や那須岳といったすばらしい観光地があり、また、農業や酪農の盛んな地域でもございます。また、産業廃棄物の最終処分場が集中している地域でもあり、住民感情から言えば複雑な面もございます。そこで、今回も県北地域に係る諸課題の一部を踏まえ、大きく6項目質問させていただきます。つきましては、執行部の皆様には、県北にお住まいの方々をはじめ、県内にお住まいの皆様にご理解いただけるような明瞭な答弁をお願い申し上げ、早速質問に入ります。  まず初めに、新生とちまるショップについて、知事にお伺いします。脱皮できない蛇は滅びるという格言があります。これは私が好きな格言であり、ドイツの哲学者ニーチェの格言だと聞いております。私なりにこの格言が意味することを考えますと、古い殻に閉じこもったままの人間は駄目になる、だから、新しい自分を創る挑戦をし続けよということではないかと思っております。そして、私は、コロナ禍が我々人間に突きつけたことは、これまでの在り方の見直しと変革であり、まさしくこの脱皮という2文字ではないかと思っております。その結果、物すごいスピードで様々なイノベーションが起きており、今、私たちはこれまでとは全く異なった時代へ突入していく、その真っただ中にいるのではないかとさえ感じております。  さて、本県の観光戦略がコロナ禍で苦戦を強いられています。東京スカイツリータウンの東京ソラマチ内にある本県のアンテナショップ、とちまるショップも例外ではありません。県産品の販売や本県の魅力等の情報の発信基地と位置づけられたアンテナショップですが、今年1月30日の新聞報道によると、2020年度の売上高は前年度比11%減の1億700万円となり、来店者数は32%減の98万人で、初めて100万人を割り込んでしまいました。アンテナショップが2012年5月に設置されてから10年、都内の独立店舗型では近年トップスリーの来店者を誇るなど、この間で本県の認知度向上という役割は果たせたものと考えますが、10年という大きな節目を迎え、まさに脱皮する時期に来ており、今こそその在り方を見直し、本県らしい新しいアンテナショップを生み出すチャンスではないでしょうか。県は、運営事業者との業務委託契約が5月末で満了となるため、公募型プロポーザル方式で次期の運営事業者を募集し、企画提案書やプレゼンテーションの内容を審査した上で、先日、事業者を選定P.112 いたしました。  そこで、これまで私も含めて多くの議員からアンテナショップの在り方に対して様々な提言がなされてきましたが、それらを踏まえつつ、また、県内市町の意向も踏まえた上で、今後、本県のアンテナショップをどのように位置づけ、そして、どのような機能を持った店舗にしていこうと考えておられるのか、知事に伺います。また、他の自治体の多くが銀座や日本橋などに集中して拠点を展開する中で、なぜ墨田区にある東京ソラマチ、イーストヤード4階の50坪弱の店舗で運営を継続することとしたのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの相馬議員のご質問にお答えいたします。とちまるショップにつきましては、県産品や観光地など、本県の魅力を全国に発信していくため、集客効果が高く、かつ本県への観光誘客にも優位性のある東京ソラマチに設置し、運営してまいりました。運営開始から10年が経過し、これまでに県議会や市町から立地や購買者数、情報発信手法等についてご意見をいただいており、本年6月以降の第3期に向けましては、これらを踏まえ、市町と協議をしてまいりました。その結果、引き続き、本県の多彩な地域資源を栃木ブランドとして売り込むため、県産品販売機能と情報発信機能を併せ持つ本県の魅力発信拠点として、県と市町が一体となってアンテナショップを継続して運営していくことといたしました。  また、設置場所につきましては、他県の店舗と比較検討した結果、東京ソラマチの集客力を背景に来店者数が全国トップレベルにある点や、設置経費が比較的安価である点などを総合的に勘案し、現店舗が適当であると判断したところであります。第3期における県産品販売につきましては、これまで掘り起こしてきた県内各地の特産品をベースにしつつ、より消費者の嗜好に合う商品をそろえるとともに、イチゴ狩り模擬体験の実施など、栃木らしさを演出しながら販売力向上を図ってまいります。さらに、情報発信につきましては、店舗からの商品紹介のライブ動画や25市町の観光情報等をSNSで発信するなど、さらなる強化に取り組んでまいります。  今後とも、本県のブランド力向上に向け、東京にいながら栃木を実感していただける店舗づくりに努め、栃木ファンの拡大を図ってまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 知事から、今後のアンテナショップの位置づけ、また、なぜ現在のアンテナショップをそのまま継続するのかというその理由等についてもお聞かせいただきました。
     それでは、ここで産業労働観光部長に再質問いたします。私は、アンテナショップのアンテナには2つの機能があると考えております。1つが発信機能、もう一つは受信機能であります。私は、これまでのとちまるショップは発信が主体で、受信は不十分であったと考えております。やはり今後はとちまるショップの情報収集機能を強化して、いかに地域活性化に結びつけていくかということが重要ではないかと考えております。しかし、県の新しいブランディング推進方針を見ても、アンテナショップは観光客の誘客のための情報発信基地という位置づけがなされているだけで、消費者に選ばれる県産品づくりに関しては、商品開発のための情報収集の場としてアンテナショップを位置づけておらず、本当にもったいないなと感じております。  そこで私は、アンテナショップで収集した情報、つまり来店客のニーズ、ウォンツ、さらにはシーズといったものを、出店している県内の企業を組織化して、そこへフィードバックしていただく、そして新商品、またヒット商品の開発につなげていただく、そういう具体的な仕組みが必要ではないかと考えますが、産業労働観光部長の所見を伺います。  また、お客様の情報を収集するという非常に重要な役割を担う受託業者に対しては、単に売上高で評価するということではなくて、収集した情報の質と量、そして、商品開発やヒット商品につながったのかどうかで評価し、もしヒット商品につながったということであるならば受託業者へインセンティブを与える、そういうことも必要ではないかと考えておりますが、併せて産業労働観光部長の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。ショップ運営の中で収集した消費者のニーズ、それから商品の評価等につきまして、出品者や市町にフィードバックすることは重要であると考えております。これまで、新商品を試験的に販売するチャレンジ販売制度等は設けてきたところでありますが、今後、情報のフィードバックにつきましては、より一層強化していく必要があると考えております。また、第3期の見直しでは、運営事業者に求めておりました売上げの一定程度の納付金を撤廃したところでございまして、情報のフィードバック機能の強化によりましてヒット製品が生まれることなどによって売上げが増えれば、運営事業者の収益につながるような仕組みとさせていただいたところでございます。  引き続き、運営事業者と市町や関係団体等との情報交換の場を定期的に設けるなど、消費者の声をよりよい商品開発につなげて、ひいてはとちまるショップの売上げ増加にもつながるように努めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 産業労働観光部長からご答弁いただきました。来店されるお客様、受託事業者、そして県内の企業と、三方よしの仕組みになりつつあるのかなという感じがしております。3期目のとちまるショップが、コロナ禍で起きている人々の価値観の変化やZ世代と呼ばれる若者の志向にも対応できる店舗に変わってほしいと思っております。そして、進化し続けるアンテナショップに脱皮してほしいと強く思っている次第であります。また、とちまるショップがこれまでのような単なる物販店ではなくて、これを機に県内の企業等の成長にも役立つアンテナショップ、さらにはヒット商品を生み出す源となって、本県のブランドイメージを変えられるような新しいアンテナショップになっていただくことを切に望み、次の質問に移ります。  県内企業等におけるSDGsの推進について、産業労働観光部長に伺います。2015年の国連サミットにおいて採択されたSDGs、持続可能な開発目標では、経済、社会、環境の3つの側面が調和した持続可能で誰一人取り残さない社会の実現を目指すこととしており、全世界共通の17の指標はいわば国際公約であり、日本における着実な行動はもとより、ひいては我々一人一人においても当事者意識を持った取組が求められると言えます。  本県においては、昨年2月、SDGsへの対応という視点を取り入れた栃木県重点戦略とちぎ未来創造プランを策定し、県民をはじめ、市町、NPO、企業など地域社会を構成する多様な主体とSDGsの理念や目標を共有するとともに、連携・協働しながらSDGsの各ゴールの達成に向けた取組をスタートさせました。特に、県内企業等に対して県は、県内企業等におけるSDGs推進の機運を醸成するとともに、SDGs達成に向けた県内企業の主体的な取組を促し、企業価値の向上や企業の競争力の強化を図るため、2020年10月からとちぎSDGs推進企業登録制度を開始しているところであります。  そこで、この登録制度がスタートして2年目でありますが、これまで県は、県内企業等のSDGs推進の機運をどのような施策により醸成し、その結果、どの程度登録企業数が増えたのか、産業労働観光部長にお伺いします。また、これまでの取組を通して見いだした課題を踏まえ、次年度以降にどのような施策に取り組んでいこうと考えておられるのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。企業のSDGs推進に向けましては、とちぎSDGs推進企業登録制度を創設し、金融機関や商工団体等と連携して登録を促進いたしますほか、メディアを活用いたしました広報等によりまして機運醸成を図ってきたところであり、本年1月末現在で今年度の登録目標を大きく上回ります388の事業者に登録いただいたところでございます。一方で、小規模企業者の登録割合が低いことが課題になっておりますほか、今後は登録企業の目標達成に向けましたさらなる支援を行うことが必要であると考えております。  このため、小規模企業者の登録促進に向けましては、業界団体等と連携を図りながら機運醸成の機会を増やしますとともに、小規模企業者でも取組可能な事例の紹介等を行ってまいります。また、登録企業の目標達成に向けましては、企業の進捗状況に応じた必要な助言を行いますとともに、SDGs推進融資を創設いたしますなど、取組が円滑に進みますよう積極的に支援をしてまいります。  引き続き、県内企業等のSDGs推進に向けました機運醸成を図りますとともに、企業の主体的な取組を促進いたしますことで企業価値の向上や競争力の強化を図り、本県の持続的な発展につなげてまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) ただいま産業労働観光部長よりご答弁いただきましたが、SDGsの推進登録企業数が今年度1月末で388ということで目標を大幅に達成しておられると。また、推進が加速されるようにSDGs推進融資といったものも導入されるということで、高く評価させていただきたいと思っております。ただ、私は、登録企業へのインセンティブ、また、継続的改善を促す仕組みがまだまだ弱いのではないかと感じております。例えば、さらなる優遇措置の拡大、そして、取組が優良な企業に対する表彰制度、さらには、実のある取組により経営改善につながった企業による導入成果発表会などが考えられますので、ぜひ今後ご検討いただきますようお願い申し上げたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。最近、地震や火山噴火災害等の自然災害が地球規模で頻繁に発生しています。そのような中で、県民の皆様の中には不安を抱えている方もおいでになるものと思います。そこで今回は、一昨年の12月の一般質問で取り上げました大規模停電への対応についてと、過去の一般質問で何回か取り上げました火山噴火災害への対応、この2点について質問したいと思っております。  まず初めに、災害時における大規模停電への対応について、県民生活部長にお伺いします。2019年9月の台風15号では、記録的な暴風により千葉県全域で大規模停電が発生し、停電解消まで16日間を要する異例の長期停電となりました。電話や防災無線などあらゆるものが停電で使えなくなる中、被害状況の把握が遅れる想定外の事態が発生し、各地に電源車が入るものの、人命に関わる病院など電源車が必要なところに配車されないケースが発生しました。千葉県での災害から教訓とすべきことが何かを検証し、万が一の事態に備え、迅速に対応できるよう対策を講じておく必要があります。また、今後は気候変動による大型台風のみならず、豪雪による長期停電も想定しておく必要があるだろうと考えます。  私は、令和2年12月の通常会議において、災害時における電力トリアージについてと題して、県の防災体制や対応方法に問題がないか質問させていただきました。さらに、本県の地域防災計画を見直した上で、県内の市町の地域防災計画に長期停電を想定した対策を明記するよう促すほか、停電が長期化したときに備え、電源車を優先的に配置させる場所をリスト化してもらい電力会社と共有すること、さらには、県と市町、そして電力会社の災害対応マニュアルを突き合わせて整合性が取れるようにしておくこと、こういったことが必要ではないかと提言させていただきました。また、停電が長期化した場合であっても、必要な場所に安定的に電力を供給するためには、電源車の充実、そして配車の道筋の明確化なども重要であると考えます。  そこで県は、災害時における大規模停電への対応についてこれまでどのように取り組んでこられたのか、本県の長期停電への対応は盤石なのか、今後、解決すべき課題は何か、県民生活部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。災害時の大規模停電への対応につきましては、令和2年7月に電力事業者との間で締結した協定に基づき、県民の命を守ることを最優先に停電復旧や電源車の配備を優先的に行う重要施設リストを作成し、市町、電力事業者と共有を図っており、非常時には速やかに対応することとしております。また、停電復旧や道路通行上の支障となる障害物の除去などの災害時の相互協力に加えまして、平時からの予防伐採を県と電力事業者が協働して取り組むこととした覚書を昨年12月に締結したところであります。  これらの大規模停電対策を、現在改定中の栃木県地域防災計画に位置づけ、電力事業者と連携して取組を進めますとともに、民間事業者との災害時応援協定を活用した非常用電源の確保対策も併せて進めてまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 県民生活部長からご答弁をいただきました。前回と比較しまして非常に進んでいるなと、長期停電への対応に関してはほぼ盤石な体制を築けている、ただ、多少は課題が残っているというご答弁であったかと思います。ご存じのとおり、長期停電は県民の生活に大きな影響を及ぼすとともに、生命を危うくする場合もございますので、残っている課題に関しては早期に解決すべくお取り組みいただきますようお願い申し上げます。  それでは、ここで県土整備部長に再質問いたします。先ほど県民生活部長のほうから予防伐採というような覚書を締結したというお話がございまして、それに関して再質問させていただきたいと思っています。暴風、また豪雪による長期停電を回避するためには、停電が発生するリスクを事前に低減する取組が必要であります。例えば、国道や県道、さらには市や町の主要な道路沿いにある樹木による電柱の損壊や、電線の破断リスクを低減するために、倒木などのおそれがある樹木を抽出し、予防伐採を進める必要がございます。  つきましては、県としてはこれまでどのように取り組んでこられたのか、また、県のみならず市町における取組も必要であると考えますが、県内の市町において予防伐採は進んでいるのか、県土整備部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。 ◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。令和元年9月、台風15号による千葉県内での大規模停電被害、そして、令和元年東日本台風時の本県での被害、こういった被害の状況を検証いたしますと、ご指摘の予防伐採につきましては、停電対策のみならず、道路の閉塞、道路の通行止めの発生を未然に防止する、そういった観点から非常に有効な取組であると、県としても認識したところであります。  そこで、答弁にもありましたが、昨年、東京電力、NTT東日本等の電線管理者と覚書を締結いたしまして、予防伐採に係る役割分担と費用負担等々の内容を明確にした上で、昨年日光市の国道120号、中禅寺湖畔で予防伐採を実施いたしました。本年度も国道119号、宇都宮市宝木本町地内ですけれども、その他、合わせて7路線、7か所におきまして予防伐採を実施しております。また、市町の取組につきましては、宇都宮市において予防伐採を行ったと聞いておりますけれども、その他の市町におきましても予防伐採の重要性について認識を共有できるように、道路占用連絡協議会といった場を通して連携を図って、県としては、その市町の取組を支援していきたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 県土整備部長よりご答弁いただきましたが、県の予防伐採については、昨年度と今年度に実施されて着実に進んでいると。しかしながら、県内の市町については宇都宮市のみでしょうか、そのほかについてはまだまだこれからということであったかと思います。停電の原因は幾つかございますが、倒木によって停電になるリスクを少しでも下げる上で、この予防伐採は極めて重要な取組だと考えておりますので、特に市町も含めた県内全域での取組が加速されますようお願い申し上げ、次の質問に移ります。  火山噴火災害への対応について、県民生活部長にお伺いします。火山噴火災害への対応に関しては、2014年10月の予算特別委員会での総括質疑を皮切りに、2018年2月の一般質問まで合計6回質問並びに要望や提言をさせていただきました。その結果、2018年7月には、那須岳の登山者や観光客等の避難施設となる峰の茶屋跡避難小屋の屋根が防弾チョッキ等に使われるアラミド繊維織物によって強化されました。改めて、県執行部に対しまして感謝を申し上げたいと存じます。  さて、昨今、火山の噴火は地球規模的に多発しており、昨年8月の小笠原諸島の海底火山噴火や今年1月15日の南太平洋トンガ沖の海底火山大規模噴火による被害など、改めて火山のエネルギーとリスクの大きさを見せつけられました。本県の2つの活火山、那須岳と日光白根山についてもいつ噴火が起きるか分からず、観光客や登山者等を火山噴火から守る態勢を万全にしておく必要がございます。  そのような中、国は2015年施行の改正活動火山対策特別措置法により、不特定多数の人が集まるホテルや山小屋、スキー場、病院、学校などの施設を避難促進施設に指定することを自治体に義務づけるとともに、避難促進施設の管理者が避難確保計画を作成することを義務づけました。しかし、内閣府の調査によれば、昨年9月末時点で、該当施設のない市町村を除いた151自治体のうち避難促進施設を指定したのは52自治体にとどまっており、6割超に当たる99自治体は指定しておらず、また、指定された避難促進施設が策定することになっている避難確保計画は2割が未作成とのことであります。  そこで、火山噴火時の避難に際して最も重要な機能を発揮する避難促進施設や避難確保計画に関して、本県の指定状況、また、計画の作成等の取組状況はどうなのか、県民生活部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。那須岳及び日光白根山では、各火山防災協議会におきまして避難促進施設の候補施設が選定されているところであります。那須岳では、候補施設のうち那須ロープウエイについて那須町が避難促進施設として指定済みでありまして、避難確保計画も令和2年に完成しております。残りの候補施設につきましても、今後、円滑に指定が進むよう市町を支援してまいります。また、日光白根山では、本県側で唯一の候補施設である日光湯元温泉スキー場につきまして、日光市において指定の協議が完了しており、避難確保計画についても、県と市の支援の下、昨年12月に事業者が作成に着手したところであります。  今後も、噴火時の施設利用者の円滑かつ迅速な避難が確保できるよう、市町と連携しながら取組を進めてまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 県民生活部長にご答弁をいただきました。避難促進施設については、日光白根山では1か所が指定されて、避難確保計画も取組中ということでありました。また、那須岳については聞くところによりますと候補案として16施設挙がっていて、そのうちの1か所、先ほどご答弁にありました那須ロープウエイが避難促進施設として指定されて、また、確保計画も作成されていると。ただ、ほかの候補施設がまだこれからということであったかと思います。恐らく施設との話合いが難航しているのだろうと思います。多々課題はあろうかと思いますが、このままでは施設や利用者に被害が及ぶおそれがございますので、早期に指定が進み確保計画が策定されるよう、県としても最大限のご支援をお願いしたいと思います。  それでは、ここで知事に再質問いたします。火山噴火はいつ突然起きるか分かりません。実際に2014年の御嶽山の噴火は大きな前触れもなく突然発生し、多くの登山者を巻き込み、噴石の衝突などで58名の貴い命が奪われた日本における戦後最悪の火山災害であり、今なお5名が行方不明となっております。今でも当時の光景が目に浮かぶほど記憶に深く刻まれています。先ほど申し上げましたとおり、本県でもいつ起きるか分からないという事態に備え、県民の命を守るということは知事にとっても大変重要な役割であると考えます。  これまでも那須岳の山麓、また山頂にある那須ロープウエイの駅舎の補強やシェルターの設置を要望してまいりましたが、どちらかといえば前向きなご答弁をいただけませんでした。駅舎については年間15万人から二十四、五万人程度が利用するとも聞いておりまして、多くの観光客や登山者等がいざというときに噴石から逃れ、命を守るためには、駅舎の補強、または県によるシェルターの設置が必要と考えますが、改めて知事の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 火山噴火災害への対応についての再質問にお答えいたします。火山の突発的な噴火による噴石から登山者等の命を守るためには、いわゆるシェルターの設置や既存の施設の屋根等の補強による機能強化が重要だと認識しております。そのため、那須岳火山防災協議会におきましては、避難ごう、シェルター等の整備につきまして検討を行い、那須ロープウエイの山頂駅付近、山麓駅付近を含む5か所を整備優先箇所として選定いたしました。その整備につきましては、各施設管理者等ができ得る限り取組を進めていくこととしております。シェルター等の整備につきましては、設置主体や費用負担等の課題が多く、国において整備の在り方について検討するよう全国知事会を通じて要望しているところであり、国の検討状況も注視しながら、引き続き協議会においても検討してまいりたいと思います。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 知事からご答弁いただきました。費用負担が一番ネックでございます。ぜひ国に対しても継続的に要望していただいて、大きな災害になる前に、ぜひ那須ロープウエイの山麓・山頂駅舎の補強、またはシェルター設置に早めに取り組めるようお力添えをいただきますよう心からお願いを申し上げて、次の質問に移ります。  農業系指定廃棄物保管農家への損害賠償問題について、農政部長にお伺いします。2011年の福島第一原発事故から10年以上が経過しましたが、原発事故で県内に飛散した放射性物質を含む指定廃棄物は、2021年9月末現在でも県内で1万2,417トンが保管されています。また、指定廃棄物の中で、稲わらや堆肥、牧草といった農業系の指定廃棄物は、那須塩原市、大田原市、矢板市、日光市の4市と、那須町、那珂川町の2町の農家合計123戸で2,993トンを保管し、そのうち那須塩原市と那須町で全体の9割以上を占めており、保管農家の精神的な負担は今でも続いております。  2020年には、放射能濃度の再測定結果を踏まえ、農業系指定廃棄物の暫定集約に向け、暫定保管場所などについて国と各市町との個別協議が開始され、昨年10月からは、那須塩原市内の農家で保管されている農業系指定廃棄物についてクリーンセンターへの搬出が始まり、保管場所を元の状態に戻す作業が進められているところであります。一方で、農業系指定廃棄物を長年にわたり一時保管してきた農家が、保管場所で仮に作付を行っていた場合に得られたはずの逸失利益に係る損害賠償がなされていません。  県は、2015年から東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策栃木県協議会と東京電力との交渉を継続的に支援しているとのことでありますが、交渉の進展に関する情報が農家には伝わっておらず、農家の中には県への不信感を抱く方もいらっしゃいます。農家の心情を考えれば、一刻も早く賠償されるよう取り組んでいただきたいと考えます。  そこで県は、この損害賠償問題についてどのように捉え、農家への賠償が早期に実施されるために今後どのように取り組むのか、農政部長にお伺いします。 ○佐藤良 副議長 青栁俊明農政部長。    (青栁俊明農政部長登壇) ◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策栃木県協議会等が行う東京電力との交渉が円滑に進むよう支援をしてきておりまして、これまでに風評被害による減収や廃棄した作物の損害など、請求額に対して約98%、388億円の賠償金が支払われております。一方、指定廃棄物の農家における保管に伴う逸失利益につきましては、平成27年度に交渉が開始され、条件面での調整を進めてまいりましたが、平成30年度、この案件は損害賠償ではなく環境省の委託事業により対応すべきという東京電力の方針転換により交渉が中断されました。  このため県では、農林水産省に東京電力への指導について働きかけを行い、一昨年、交渉が再開されましたことから、県は協議会に対し、賠償に必要な証拠書類に関する助言や賠償額の算出方法の提案などを行ってきております。  こうしたことで交渉が進んできておりますことから、今後も支援に努めますとともに、交渉成立後に速やかに賠償がなされますよう、市町と連携し、農業者への請求手続に係る情報提供等を丁寧に行ってまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 農政部長からご答弁いただきました。一旦中断したけれども、その後、着実に損害賠償の交渉が進むように支援してこられたということで、ぜひ早期に決着できるように全力で支援し続けていただきたいと心からお願い申し上げたいと思います。  それでは、ここで環境森林部長に再質問いたします。昨年6月24日に開催されました那須塩原市議会6月定例会議での参考人招致の中で、環境省の放射性物質汚染廃棄物対策室長から次のような発言がございました。東京電力への賠償請求に関しては、県や市においても東京電力と協議を行っている状況であると認識している。一方で、協議は円滑には進んでいないという話も聞いている。これまで個人の敷地内で保管してきていて、そこは大変なご負担だろうというところはよく認識しており、環境省として改めてその関係者に状況を確認しながら、今この時点で何ができるということまでは申し上げられないが、農家の皆さんに寄り添って、現時点で何ができるかというところはしっかり考えていきたいと思っている、こういった発言がございました。  つきましては、このような発言を踏まえてお尋ねいたしますが、その後、環境省は東京電力に対して何らかのアクションを起こしているのでしょうか。また、農家に寄り添って何ができるのかに関しての結論は出たのでしょうか。さらには、このような発言を踏まえて県はこれまで国に対して何らかの働きかけを行ってきたのでしょうか。環境森林部長にお伺いします。 ○佐藤良 副議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。現時点におきまして、環境省において、東京電力への損害賠償に関して具体的なアクションは起こしていないと聞いておりますが、環境省では、保管状況の確認などの際に、個別の農家の皆様のご意見、ご要望を伺っていると聞いております。その声の多くは、一日も早く農地から指定廃棄物を搬出してほしいということでございまして、現在、ご指摘のとおり、那須塩原市におきまして暫定集約の作業が環境省により行われているところでございます。  県といたしましては、今後とも、市町ごとの暫定集約が一日も早く実現できますように、市町との間に立ち、環境省に対する働きかけを行うなど、役割を果たしてまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 環境森林部長からご答弁いただきました。実際、2011年の原発事故から既に10年経過しております。また、東京電力との交渉が7年近くたっても賠償問題が解決していないということであります。また、長年にわたって指定廃棄物の保管をどちらかというと余儀なくされている、また、本来稼げた収入も入ってこない、そのような保管農家の心情というものを自分のこととして捉えていただければと思います。せっかく環境省から、農家の皆さんに寄り添って現時点で何ができるかということをしっかりと考えていきたいと言っていただいている、私はこの発言は重いと思っております。この問題が早期に解決できるよう、国に対して強く要望し続けていただければありがたいと思います。以上、お願い申し上げて、次の質問に移ります。  使用済太陽光パネルの利活用と不法投棄対策について、環境森林部長にお伺いします。再生可能エネルギーの主力である太陽光発電は、2012年7月の固定価格買取(FIT)制度の開始以降、全国的に導入が進んでいます。本県においても、その8年後の2020年度末には設備容量が232万キロワットと13倍も拡大いたしました。  そのような中、県は、県気候変動対策推進計画の中で重点プロジェクトとして地域で活かす再生可能エネルギープロジェクトを掲げ、地域の脱炭素化とエネルギー強靱化を両立する再生可能エネルギーの導入拡大等を推進することとしています。一方で、太陽光発電で使用する太陽光パネルの製品寿命は25年から30年程度とされており、環境省によれば、今後、2040年頃のピーク時に80万トンの使用済太陽光パネルが排出されるとの試算もございます。使用済みの太陽光パネルは、リユースやリサイクル、または埋立処分をすることになると思いますが、全国的にも処理業者や施設は限られており、また、最終処分場の新規設置には相当な期間を要することから、リユース、リサイクルが円滑に進まなければ、最悪の場合不法投棄につながりかねないのではないかと危惧しています。太陽光パネルの中には鉛やカドミウム等の有害物質を含むものもあり、もし不法投棄につながれば土壌汚染や水質汚染につながり、最終的には人の健康にも被害を及ぼす等大きな問題につながりかねません。私は、太陽光発電を長期的に安定した電源としていくためには、今のうちから使用済太陽光パネルの利活用や廃棄などの問題にも取り組んでいく必要があると考えます。  そこで県は、リサイクルや埋立処分等についてどのように考え、処理業者の育成や処理施設の誘致等、今後どのように対処する考えか、環境森林部長に伺います。また、使用済太陽光パネルの不法投棄の監視についてはどのように取り組むのか、併せてお伺いします。 ○佐藤良 副議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。使用済太陽光パネルにつきましては、2040年頃に排出量がピークとなるとの国の試算もあり、将来に向けて対応が必要な全国的な課題であると認識しております。こうした中、国におきましては、放置や不法投棄など地域の懸念を解消するため、設置者による廃棄等費用の確実な積立てを担保する制度を本年7月から開始することとしております。太陽光パネルの処分は、破砕、選別を行い、金属精錬工場等でリサイクルする方法が一般的でございます。  県といたしましては、資源循環の一層の推進のため、解体事業者等に対する講習会を通じた啓発活動を行っておりますほか、製品の循環的利用や適正な処分が行われるよう、全国知事会等を通じ、国に対してリサイクルシステムの早急な構築を求めてきたところでございます。また、県資源循環推進計画に基づき、リサイクル製品認定制度を活用した関連産業の育成や各種リサイクル施設への理解促進を図りますとともに、不法投棄防止につきましては、引き続き、関係機関と連携した監視活動を行ってまいります。  今後とも、持続可能な循環型社会の実現を目指し、使用済太陽光パネルの適正処理に向けた各種施策を積極的に推進してまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 環境森林部長からご答弁いただきました。聞くところによりますと、使用済太陽光パネルのリサイクルについては、国においてもパネルを解体する技術の開発に取り組んでいると聞いております。本県においては、既に多くの太陽光設備がございます。したがって、今後大量の使用済パネルが排出されるわけですので、国のみならず本県においてもリサイクルが進み、適正な処理がなされるよう対応をいただきたいと思っております。また、不法投棄については特に山林などで多く発生すると言われております。自然豊かで広大な土地を有する私の地元でも大量廃棄を心配する声がありますので、こうした地域の声も踏まえ、しっかりと対応いただきますよう要望し、最後の質問に移ります。  公立学校における校長の公募について、教育長にお伺いします。本県の小中学校の不登校児童生徒数は、2020年度では3,353人で、この10年間で約1.6倍も増えています。私は、不登校の問題の本質とは、学校が子供たちに適応できなくなっていることにあるのではないかと考えております。常に子供の目線に立ち、子供たちにとって将来にわたって必要となる力を育める教育環境づくりが重要であると考えます。確かに今、学校や教員が抱えている課題はたくさんあり、そして、学校現場は大きな変革期を迎えています。不登校のみならず、新型コロナウイルス感染症への対応、働き方改革、新任教員の負担の重さ、教職員の大量退職、新規採用教員選考試験受験者数の減少など、さらには、高学年での英語の教科化、プログラミングやアクティブラーニングの導入、ICT(情報通信技術)を活用した教育などへの対応も求められております。私は、こうした課題が山積する現状を打破し、新しい時代に対応するためには、これまでの慣習や決まり事にとらわれない新たな発想に基づく学校づくりが必要であり、その手段の一つとして、校長の公募を検討してはどうかと考えております。  茨城県教育委員会では、中高一貫校などにおいて公募による校長選考を行っており、来年度の採用枠5人に対して330倍を超える1,673人の応募があり、最終的に4名を採用したと聞いております。求める人物像を明確にし、募集方法を工夫するなど、優れたリーダーシップ等を有する人材を幅広く募集したことで、前例にとらわれず新しい学校マネジメントができるすばらしい人材が確保できたとのことであります。  そこで本県でも、2004年度に2名、2010年度及び2012年度にそれぞれ1名の民間人等の校長を任用した実績があり、その後、2016年度をもって任用を休止したとのことでありますが、任用を休止した理由とは何か、また、本県の公立学校における校長の公募についてどのように考えておられるのか、教育長にお伺いします。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。学校が抱える様々な課題に対応するためには、校長が学校の経営者としてリーダーシップとマネジメント能力を発揮し、目標や経営方針を明確にした上で、その具現化と改善を図ることが求められております。このため、平成16年度から平成28年度にかけまして、優れた資質・能力を有する民間出身の校長を小中学校に任用し、民間の考え方を学校経営に取り入れることで学校教育全体の活性化に努めてまいりました。一方、民間人講師を活用した組織マネジメント研修の充実により、管理職に必要な資質の向上が図られてきましたことや、地域とともにある学校づくりの推進により新たな発想に基づく課題解決が可能となってきましたことなどから、現在、民間人等校長の任用を休止しております。  今後も、市町教育委員会の意向も踏まえながら、管理職の経営感覚の醸成や教職員の資質・能力の向上に取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 相馬政二議員。    (11番 相馬政二議員登壇) ◆11番(相馬政二議員) 教育長からご答弁をいただきました。それでは、ここで要望をさせていただきたいと思っています。聞くところによりますと、荒川教育長は学生時代にバックパッカーとして欧州18か国を回った経験があるとお聞きしております。多くの国々を回りながら、様々な人種、話す言葉も違い、価値観も違う、そういう人たちと触れ合い、今で言うダイバーシティー、多様性というものを身をもって経験されたのではないでしょうか。私は、そのような経験は何事にも代えがたい貴重なものであり、得たものも多かったのだろうと思います。そして、その貴重な経験がその後の人生においても役立ったのではないかと思います。民間人の中にも、民間企業等での様々な経験から培われたマネジメント手法や経営改善手法、発想力など、教育生活ではなかなか得ることができない経験や技能を兼ね備えた人材がおられると思います。  私は、そういう問題解決の上手な、かつ人格的にも優れた人材を、こういう今のような難しい環境に置かれている教育界だからこそ、こういった優れた人材を活用すべきであると、もし活用できたなら、一見困難と思える働き方改革一つにしても改革のスピードが早まるのではないか、さらには、多くの経験によって培われた柔軟な発想と知恵を活用できたとするならば、教員の皆様にとっても目からうろこと思えるような貴重な気づきが得られるのではないかと考えております。  つきましては、公立学校における校長の公募について改めて前向きにご検討いただきたくお願い申し上げ、私の質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
    ○佐藤良 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時15分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は29名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時15分 開議 ○佐藤良 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 皆さん、こんにちは。とちぎ自民党議員会の渡辺幸子です。今回の一般質問は、知事が来年度に全庁一丸となって取り組むと説明された4つの重点事項を中心に準備を進めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナにおける新たな日常への対応、デジタルトランスフォーメーションの推進、脱炭素化の取組などの推進、第77回国民体育大会いちご一会とちぎ国体及び第22回全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎ大会の開催とレガシーの継承、この4つになるわけですけれども、今回はその重要性や現状を、この議場内はもちろん、テレビやラジオなどでお聞きいただいている県民と共有し、課題を乗り越え、力を合わせて前に進んでいくために改めてお聞きしてまいりたい、そういう思いで構成させていただきました。知事はじめ執行部の皆様におかれましても、この1時間、同じ思いで臨んでいただけますようにお願いいたしまして、早速、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えた本県の経済政策について、知事にお伺いしてまいります。  新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、国においては、令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度を閣議決定しました。令和3年度のそれと比較してみますと、ウィズコロナの下で社会経済活動の再開・継続を図りつつ、経済対策を迅速かつ着実に実施というフレーズ、あるいは最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げるといったフレーズなど、新型コロナウイルス感染症の収束後の経済に言及されている部分が目に入ってまいります。また、令和3年度のGDP成長率は実質2.6%程度、年度中に新型コロナウイルス感染症の流行前の水準を回復することや、令和4年度は実質3.2%程度となってGDPは過去最高となることが見込まれております。さらに、これまでも課題であったテレワークやデジタル化への動き、これらが一気に加速し、生産性の向上や働き方改革にいい影響をもたらしながら、SDGsや、あるいはESG投資といった世界的経済の潮流に乗るような新たな取組についても一過性の流行ではなくて定着が図られておりまして、本県を含めて地方でも関心は高まっていると感じております。  さて、そこで海外に目を向けますと、規制緩和を進めコロナ禍からの正常化を進める国も出てきておりまして、IMFの発表によれば、2021年の世界経済成長率は5.9%でした。また、台湾が今週、本県を含む5県の食品に関する輸入規制措置の緩和を発表し、全てではないのですが、キノコなど一部を除いて輸出が可能となってまいります。農作物や食品の輸出拡大の追い風になるものと期待しているところです。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行収束後に観光旅行したい国・地域について、アジア居住者のランキングと欧米豪居住者のランキングで、これはいずれも日本がトップとなりました。その理由は、治安、食事、買物が魅力であるということです。将来的なインバウンドの回復も期待でき、我が国の水際対策も来月から緩和が表明されるなど、長く閉じていた国際関連の事業もいよいよ扉が開き始めたと感じています。  ただし、日本が観光旅行したい国・地域でトップになったその魅力の背景には、日本の安さが要因にあることも私たちは理解している必要があると思います。日本経済新聞でも、今、1,000万円を超える世帯年収の割合というのは日本では12%ぐらいになるわけですけれども、アメリカのサンフランシスコでは1,400万円の世帯収入があってもそれは低所得層に分類されてしまうと、そういった安い日本が特集されて話題となりました。かつて80年代に日本人がブランドショップでの買物であれば海外で、という時代がありましたが、当時と真逆で、今は日本の物価が安いから観光や買物に行こうと、そのように外国人から言われる時代だということです。このようなここ2、30年の世界情勢、あるいは新型コロナウイルス感染症の流行前後の国内外の様々な経済状況、こういったことを私たちは正面から受け止めて、その上で前に進むことが求められていると感じています。  例えば本県においても、ものづくり県としては、サプライチェーンの安定面や海外よりも物価や人材が安いという面において、国内に拠点を置いて物を供給していこうと、そういう企業が増えているわけですから、積極的にその受皿になっていくとか、あるいは農業県いちご王国としては、海外でより高く買ってもらえるような姿勢を見せていくとか、観光立県としては、インバウンド回復を見据えて海外プロモーションにさらに力を入れていくとか、本県が強みを持つ分野においては特に、いまだコロナ禍とはいえ、経済活動の影響も収束に向かっている中ですので、コロナ禍を契機として変化した国内外の動きを的確に捉えて戦略的に取り組んでいくということが重要なのではないでしょうか。  そこで、これまで申し上げたような新型コロナウイルス感染症の収束後のステージにおける世界経済を見据えた本県の経済政策と、その達成のための野心的な戦略が必要という考えについてどのようにお考えになりますでしょうか、知事にお伺いいたします。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの渡辺議員のご質問にお答えいたします。世界経済の動向を捉え、本県経済をさらに成長させるため、アフターコロナも見据えながら、昨年3月にとちぎ国際戦略を策定し、戦略の柱にグローバル展開の促進や外国人観光客の誘客推進等を位置づけた上で、本県の強みを生かせる重点エリアにターゲットを絞り、各国・地域の実情に応じて戦略的に施策を展開することとしております。しかしながら、現在は渡航制限等により海外での活動が困難でありますことから、とちぎ型大使館外交を展開し、駐日大使等に本県の農産物や観光資源等の魅力・実力を伝えるほか、SNSや海外在住者等を活用して観光情報を発信するなど、新型コロナウイルス感染症の収束後の行動制限緩和やインバウンド再開を見据え、様々な取組を行っているところであります。  今後、感染状況が落ち着き、海外での活動が可能となった際には、相手国や地域の状況を踏まえながら戦略に掲げた施策を本格的に展開することとし、県産品、県産農産物につきましては、既に流通ルートが確立している香港や米国等におきまして、国際食品見本市への出展や海外バイヤーとの商談により販路の拡大を支援することとしております。また、新たな市場といたしまして有望なタイ、ベトナムにおきましては、販路開拓に向けた現地プロモーションを実施いたしますほか、輸入規制が緩和された台湾におきましても積極的に輸出促進を図ってまいります。  さらに、外国人観光客の誘客促進のため、来県者数が多い台湾や香港等に向けましては、人気が高まっているアウトドアコンテンツなど、観光客の嗜好に合わせた旅行商品の造成を促進するとともに、今後、観光客の増加が期待される米国におきましては、国際旅行博に出展するなど戦略のターゲットである富裕層等に対し観光需要の喚起に努めてまいります。  今後とも、世界経済の動向を注視しながら、本県の強みを生かすとともに、関係機関などと連携を図りながら、世界から選ばれるとちぎの実現に向けて戦略的に取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 知事から、とちぎ型大使館外交についてのお話がありました。海外における現地でのプロモーション活動ができない中でも、そうして行っていただいていることに感謝を申し上げたいと思いますが、様々な国の大使と直接交流を図ってこられた中で、知事は本県が国際的にどのように見られていると率直にお感じになられましたでしょうか。また、これまでの外交の手応えみたいなものがありましたら、改めて知事にお聞きしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えた本県の経済政策についてのうち、大使館外交等についての再質問にお答えいたします。大使館の大使並びに職員の方々と何度か意見交換をしておりますが、国際観光地である日光は知られておりますけれども、栃木県そのものはほとんど知られていないと言っても言い過ぎではないと思いました。つきましては、いちご王国本県の特産品であるイチゴ、あるいは梨の「にっこり」、さらには「とちぎ和牛」などについても周知はされていないと認識を新たにしているところでございます。それらにつきまして、訪問の際には動画を使って説明を申し上げながら、魅力の発信、実力の発信などに取り組んでいるところでございます。また、台湾が輸入制限の解除をするということになりまして、早速お礼に伺ってまいりましたけれども、その際に、皇居でお召し上がりになられている食物については東京の近くで作っているらしいと、こういう話をお聞きしまして、それは栃木県ですと申し上げました。そういった情報についても、大使も承知をされていないということも改めて思いましたので、情報発信の重要性を再認識しました。また、天皇・皇后両陛下をはじめ皇族の方々がそこで作ったものを食べているのですよということを政府に伝えて、一刻も早い解除を大使館からも申し上げてきた、こんなエピソードもお聞きしてきたところでございますので、今後も引き続き、関係のある大使館等を訪問しながら、栃木の実力・魅力、そして、よさについてPRし、認識を高めてもらうよう努力をしてまいりたいと思います。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 丁寧にご答弁をいただきました。本当にいろいろな事業が県の中であって、それに伴って、地域や国と信頼関係をつくっていくということは大事ですが、やはりトップ同士の交流というのはさらに重要だと思っています。様々な事業の可能性が大きく広がると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。  この質問で申し上げておきたいことは、今までの延長で事業を考えていくというのではなくて、視座をがらりと変えて、世界を舞台に、世界を相手に本気で向かっていただきたいということです。特にこれからも長く生産活動のさなかにいる若い世代を代表してと言うと、私はもう39歳になってしまったので大変おこがましいのですけれども、ただ、これからますます日本が人口減少時代にあって、海外の視点なくしては生き残れないと感じている若い世代は大変多くいますので、そのように心から県にお願いするものです。どうぞよろしくお願いいたします。  続いて、県民に分かりやすい広報の在り方について、北村副知事に伺ってまいりたいと思います。本県では、広報手段として、県民だよりなど広報紙やホームページのほか、ブログやメールマガジン、SNSなどを活用して情報発信に努めていただいています。特にSNSにつきましては、LINEは4アカウント、インスタグラムは16アカウント、ツイッターは26アカウント、フェイスブックは33アカウント、ユーチューブが15アカウント取得しておりまして、約10年前からスタートしているわけですが、現在は各部局で大きく利用が拡大しております。現在、スマートフォンを利用している層は60歳以上であっても8割以上といったことを考えますと、SNSは若い世代だけにとどまらず、幅広い年代への広報として有効な手段の一つと言えるようになりました。こうした県の取組は、広報の強化に確実につながっているものと感じています。  一方、県民が自分に有益と思える県の情報を取得していくために選択するのは、こうした100近くのアカウントや媒体の中からということを考えますと、県民にとってアカウントが多くあることでの分かりにくさも生じてしまっていると言えるのではないでしょうか。こうした視点で考えれば、その情報を受け取る対象者などを明確にした上で、当然、実施する目的があるわけですから、その目的達成のために最も適したメディアを選択しているのかどうか、現在どのくらいの登録者数がいるのか、どの程度拡散されているのか、何を基準にどのレベルをもって目的を達成していると考えるのか、そうであるならば今の更新の頻度は多いのか少ないのか、同じSNSの別アカウントで類似した内容を発信している場合は連携がされているかどうかなど、各部局であるべき姿を明確にしていくということが重要だと思っています。同時に、まずSNSを始める、という最初の段階を県はこの10年かけて実施してきているわけですから、次の段階としては、より県民に伝わるように、県としての広報のあるべき姿も検討する時期に入っているのではないでしょうか。  そこで、より県民に分かりやすい広報の在り方についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、県の考えを北村副知事にお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 北村一郎副知事。    (北村一郎副知事登壇) ◎北村一郎 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県政に対する県民の理解と参加を促進するためには、県に関する情報や取組を積極的に発信することにより説明責任を果たすことが重要でありまして、広報紙やテレビ、ラジオ、ホームページ、SNSなど、各種媒体の特性を生かした分かりやすい県政広報に努めております。  そのような中、SNSはタイムリーに情報を入手できるツールとして利用が拡大しており、それぞれの施策や事業等に応じ、対象者に向けて情報発信する際の広報媒体として活用が進んでいるところであります。一方、県のSNSアカウントの中には、内容が類似したものやしばらく更新されていないものなども見られ、県民の利便性の観点からは課題があると認識しております。  このため県では、SNSの適正な運用を図り、効果的な発信につなげられるよう、今年度、CMOによる専門的知見に基づく職員研修を実施いたしました。この研修には、担当職員だけでなく管理職員も出席し、目的を明確にして運用することの重要性に加え、リスク管理につきましても注意を促したところであります。現在、この研修を踏まえて各部局において見直しを行っておりまして、デジタルマーケティングの視点も意識しながら、引き続き、効果的に県民に届く広報となりますよう取り組んでまいります。  今後とも、デジタル化の進展に的確に対応しながら県政情報を分かりやすく提供いたしますとともに、県民が必要とするときに必要な情報を入手できるよう、多様な広報媒体を有効に活用し、県民目線に立った効果的な県政広報に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 副知事から、しばらく更新されていないものもあるという課題もお聞きいたしました。確かに調べてみますとフォロワー数も10人ぐらいとか、そういったものも実際あるわけで、今後、しっかりと考えていかなければいけないと思っています。広報課では、県の公式アカウントを2つ持っていて、ツイッターとLINEですけれども、これは令和7年度、2025年までには、それぞれ4万人の登録者、フォロワー数の目標設定をしっかりとされています。この目標設定についてどのような基準で設定されたのか、また、その達成による広報全体の姿や効果についてどのように想定されているのかということを、広報課のある県民生活部長にお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 千金楽宏県民生活部長。 ◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。県公式ツイッター、LINEは、県政情報をタイムリーに発信することができる有効な広報手段でありまして、さらなる活用を進めていくために、目標設定に当たりましては、それぞれ設定当時の登録者数の約4倍の4万人とかなり高めに目標設定をしたところであります。今年度、企業と連携したキャンペーンやイベントでの働きかけなど積極的に登録の推奨に取り組みまして、着実に登録者数を増やし、LINEにつきましては、現在2万人に到達したところでございます。これらの県政情報発信のSNSの登録者数を増やしていくことによりまして、若い世代を中心にこれまで情報が届きにくかった新しい層の拡大を図りまして、従来からの広報紙とテレビ、ラジオなどの広報と併せまして、より多くの県民の方々に県政情報を届けることができると思っているところでございます。  今後とも、それぞれの広報媒体の特性を生かしながら、重層的に、かつきめ細やかに県政情報を発信してまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 当時から考えれば4倍ということで、より多くの方々に見ていただくということも大事ですが、では、4万人というのが果たして多いのか少ないのか、何をもってそう考えるかというところも考えていかなければいけないと思っておりますので、ぜひそのあたりのところは今後の検討課題と認識していただけるとありがたいと思います。  いろいろ作っていただいているのですけれども、部局で1アカウントにして、目的やテーマとか、発信課についてはハッシュタグとかで分類をしていくというやり方もあります。様々なSNSを見ていると、成功事例は農林水産省なのです。農林水産省のツイッターのフォロワー数は16万人います。ユーチューブの登録アカウント数は約14万人です。行政らしくないと言うと少し誤解があるかもしれないのですけれども、親近感があって一般の国民にも分かりやすいような内容が人気を集めています。行政が発信する内容なので、情報の正確性を保つのは当然のことですけれども、そこに縛られるあまり分かりやすさだったり親近感というのを失ってしまっては、県民に情報を届けました、けれども、そこから手に取って読んだり見たりして理解をしましたとか、さらにそれを誰かに伝えることになりましたという段階にまでは至らないと思います。ちなみに、県のアカウントですと私は農政部に注目をしておりまして、非常に工夫を凝らしていて、農業に興味がない方でも、食という入り口から農業に関心を持たせるということに成功していると感じております。先ほど副知事からCMOに関する答弁がありましたが、マーケティングに関しての情報を県内で広げていくことで栃木県の広報のあるべき姿を探っていっていただきたいと思います。  続いて、外部目線の重要性という意味でつながりのある質問ですが、審議会等の委員における女性や新たな学識経験者等の登用について、これも北村副知事にお伺いしてまいりたいと思います。県の施策や計画については、ある専門分野での高い見識などを持っている学識経験者と呼ばれる方々、それから関係機関・団体の方々、公募で選ばれた一般県民など、様々な立場の方々から意見や提言をいただく会議が多数設置されています。この中には、いわゆる審議会など地方自治法に規定されている附属機関のほか、法令によらず自治体が設置できる協議会などがあります。この法令に基づき設置される審議会等の附属機関というのは、本県では、例えば栃木県青少年健全育成審議会など全体で70件、こうした会議では、現在男性が708名、女性が424名、延べ1,132名の委員が選任されているところです。  県では、行革プラン2021において、これらの委員の選任に際しまして、令和8年4月1日までに女性の数値割合の目標を40%と定めました。令和3年4月1日現在では37%と伺っておりまして、達成を期待しているところです。一方で、昨年度開催されましたとちぎブランド力向上会議のような注目度の高い県の重要な会議であっても、法令に基づかない協議会等については、そもそもそうした割合はデータとして把握されていない。さらに、これらも含めた審議会等の中には一人の女性も委員になっていない事例とか、1人の女性が幾つかの委員会で兼務をしているというような事例もあると伺っております。  県の施策などについて多様な意見を求めていくという目的を考えれば、やはりここは法令に基づく、基づかないにかかわらず、全ての審議会等で女性を登用して、その目的を達成していく必要があるのではないでしょうか。また、多様な意見という意味では、現在も他県にお住まいの学識経験者にも入っていただいているところで、例えば栃木県重点戦略とちぎ未来創造プランの作成時にも、37名の委員の中で1名だけですけれども、他県大学の教授を選定されております。県内で活躍されている方々以外にも、協議内容によっては、協議分野に直接携わらなくとも関係するような専門的な知識を持っている県外の在住者もいるわけです。外側から見た本県の強みや弱みを知っている、そういった第三者の視点に立って意見をいただける方に比重を置いた委員選定をすることも重要ではないでしょうか。  そこで、法令等に基づかない協議会等についても女性割合の目標を40%以上と設定して、女性の登用を促進する必要性、また、第三者の視点で意見をいただける学識経験者等の登用を促進する必要性があると考えますが、どのようにお考えになりますでしょうか、併せてお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 北村一郎副知事。    (北村一郎副知事登壇) ◎北村一郎 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。複雑化、多様化する行政課題等に的確に対応するためには、政策形成や方針決定の過程において、女性を含め様々な方々の意見を反映していくことが大変重要であります。審議会等への女性委員の登用につきましては、まずは附属機関において行革プラン2021に掲げる40%の早期達成を目指していくとともに、現状では約25%と把握しておりますけれども、その他の協議会等につきましても女性委員の積極的な登用に取り組んでまいります。  なお、県といたしましては、男女共同参画社会の実現に向け、地域のリーダーとして活躍する女性を育成するためのとちぎウーマン応援塾をはじめ、農林業や商工業分野等で女性人材の育成施策に取り組んでおりまして、女性委員候補者の拡大につなげてまいりたいと考えております。また、施策立案に県民の意見を反映させていくことはもとより重要でありますが、審議会、協議会等それぞれの設置目的によっては、県内にとどまらず、県外から本県の状況を客観的に捉えられる視点を持った方々に参画いただくことは大いに意義があると考えております。  デジタル化の進展に伴い、オンラインにより遠方からの参加も可能となっておりますことから、審議会等の目的を十分に踏まえた上で、幅広い人材の登用を図ってまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 北村副知事からは、25%というお話もお伺いすることができました。国の審議会では、女性委員の登用が進んでいない場合には、その要因などについて各府省等で分析した結果を公表していく、団体の推薦による審議会等の委員もいるわけですが、これは各団体等に対して、団体からの委員の推薦に当たって格段の協力を要請するとしておりまして、これで40%を既に達成しているわけです。同様の取組を本県でも実施すべきと考えるのですが、北村副知事はどのようにお考えになりますでしょうか、再度お伺いさせてください。 ○佐藤良 副議長 北村一郎副知事。 ◎北村一郎 副知事 再質問にお答えいたします。附属機関の委員の選任に当たりまして各団体等に推薦を依頼しているケースがございまして、その場合は、男性と女性の比率が適切なバランスを取るように各部局にはこれまで指示をしてきたところですけれども、数値としてはまだ不十分だと感じております。各団体等に対しまして、県の目標値に見合う女性割合が確保されるよう、さらなる配慮をお願いしてまいりたいと考えております。加えまして、法令によらずに設置しております協議会等もございますが、こちらにつきまして、今後、改めまして委員の選任状況を確認しまして、女性委員の割合が低い場合はその理由を分析いたしまして、その結果を踏まえまして各団体等へ働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 踏み込んだご答弁をいただいたものと思っております。確かに団体ですと専門的な分野に分かれてしまっていて、女性が少ないという場合もあるかもしれないのですけれども、県では女性活躍応援団など様々な女性活躍関連の事業を実施しているわけですから、各界で活躍する女性の掘り起こしという意味でもぜひお願いしていきたいと思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。本県における若い女性の移住についてです。こちらは総合政策部長に伺ってまいりたいと思います。最初の質問でも申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響で様々な変化がありました。ネガティブな面がフォーカスされがちですけれども、ポジティブな面も存在しまして、その一つが地方移住への動きだと思っています。企業の動きといたしましては、本社機能の首都圏転出が注目されておりまして、今年度300社を超える転出超過になると予想されています。また、その企業に勤務する人たちの働き方についても、特に20代や30代に関しましては、テレワークなどの新しい生活様式も定着しておりますことから、観光地でテレワークを活用するワーケーションや、平日と週末で過ごす拠点をそれぞれ持っている二拠点生活への関心も高くなっております。  NPO法人ふるさと回帰支援センターの相談者が選んだ2020年の都道府県移住希望地ランキングで、栃木県は13位になりました。1位になったのは静岡県です。東京から新幹線での移動時間は1時間程度と本県とあまり変わりがありません。また、総務省の調査でも、移住の理由として、気候や自然環境に恵まれたところで暮らしたいからというものが最も多く、幾つかの民間の調査でもやはり豊かな自然がトップに挙がっています。ちなみに、このふるさと回帰支援センターの中に、本県は、移住と就職のワンストップ窓口を設置しているのですが、ここでの移住相談では、日光市を含む県北エリアが35%でトップでした。県内では、東京都から距離的に最も離れているエリアであるということを鑑みれば、自然環境に恵まれた本県はどのエリアでも移住先の候補地になれるわけで、本県が全国1位になれるポテンシャルは十分備えているのではないかと思っています。しかしながら、本県における転出超過は続いてしまっていて、その中でも若い女性が戻ってこないことが県の課題です。  2020年の国勢調査によると、本県の30歳から44歳の独身者で男性が女性よりも多い割合が34.2%となりまして、全国で最も比率が高い、いわゆる男余りという状況が明らかになりました。では、なぜ若い女性は本県を出ていってしまうのか。民間のアンケートでは、その地域の寛容性、心の広さとか自分と異なる考えがある他人を受け入れる力というところですが、そうした寛容性がUターンと相関関係にあると考察されたことで話題となっています。つまり、その地域の心が広いほどUターンする人が増えているのではないかという話なのですが、具体的に見ていきますと、本県に住む人の離脱意向、出ていきたいという意向は全国4番目に高く、Uターンをしたい、戻ってきたいという意向は全国で39位、若い女性から見て寛容性があるという認識は全国で42位、その寛容性の項目で最も低い項目というのが女性の生き方となっていました。つまり、若い女性から見た栃木県というのは、残念ながら、出ていきたい県、帰りたくない県、特に自分たちの生き方について寛容ではない県と考えられているようです。  このように、本県への移住に関して様々な調査結果があって、課題も指摘されているわけですが、本県への移住の流れを着実なものにしていくためには、若い世代の女性の本音を聞き出すことで移住に関する状況を的確に把握していくということ、その上で効果的だと考えられる施策を検討、実施していく必要があるのではないでしょうか。  そこで、改めて、県は移住、特に若い女性の移住促進に関して、本県の魅力と課題をどのように把握して取り組んでこられたのかお伺いしたいと思います。また、あわせて、このような問題意識から、とちぎ自民党議員会では予算を要望いたしましたところ、若い世代の女性を対象とした移住施策強化のための新たな事業を実施すると伺いました。どのように展開していこうとお考えになっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。総合政策部長、お願いいたします。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県は、東京圏との近接性や暮らしやすい住環境、豊かな自然など、移住に関する多くの魅力を備えておりますが、直近の人口移動報告では、若い女性の転出超過は大きく改善したものの、依然として進学や就職等を契機とした東京圏への流出が課題となっております。  このため県では、SNS等を活用した若い女性が本県で暮らし、働くことの魅力の発信や、本県への就職を考えるきっかけとなるUIJターン就活女子会の開催等に加え、東京圏の企業をターゲットに本県の優れたテレワーク環境をPRし、転職の必要がないテレワーク移住の促進にも積極的に取り組んでおります。さらに新年度は、本県に移住し活躍する女性による日々の栃木暮らしをリアルに伝えるセミナーを開催するとともに、本県の充実した子育て施策をはじめ、移住後の生活に役立つ情報などに関する特設ページを創設するなど、市町等と連携しながら取組を強化してまいります。  今後とも、就職や子育てなど様々なステージを契機に本県が選ばれるよう、また、移住した後も生き生きと暮らし続けることができるよう、若い女性の視点も十分に踏まえながら、移住・定住の促進に取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 女性に戻ってきてもらいたい、そのための県の施策に反対するという方は誰もいらっしゃらないと思うのですけれども、そのためには、やはり今の施策の検証というところも大事だと思います。実際に県の施策によって移住に結びついている人数だったりとか、そういったところはまだ不明だと聞いておりますので、これも正確に把握していく必要があるのではないかなと思います。そして、PRも大事ですけれども、それだけではなくて受け入れる側の姿勢が重要であり、若い女性の視点でというところも答弁でいただきましたけれども、そのための環境整備が重要だという認識を持っていくべきではないかと思っています。その一例としてですけれども、本年4月から届出と公開が義務づけられている女性の管理職登用などの数値目標を定めております一般事業主行動計画、これもどのぐらい策定されているのかは県で事前に把握されているわけではないと伺っておりますので、この調査ももちろん大事だと思いますし、そうした意味では、もう既に多くの若い女性が働いている企業、大企業に本県へ移転してもらうということも一つの手段だと思っています。  そこで再質問いたします。現在、コロナ禍で社員のテレワークが進んでいる中で、株式会社パソナなどの大企業も含めて、東京都に本社を構える企業の本社機能の移転が注目されています。本社機能が本県に移転されれば、そこで働く社員の移住にもつながりますし、また、Uターンも期待できると思います。例えば宇都宮市では、男女共同参画推進の観点で、女性を雇用した場合に補助するオフィス系企業立地補助金もあるのですが、これは隣県の状況も調べてみますと、首都圏から隣の茨城県に移転した企業は2021年で37件あって、全国で2位でした。群馬県は16件あって全国で7位だったのですけれども、本県は残念ながらこのトップテンのランク外になってしまったということで、人の移住や企業の移転、そういったポテンシャルはまだまだあると感じているところです。  そこで、企業の本社機能の移転については今後どのように取り組もうと考えていらっしゃるのか、産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。本社機能の移転につきましては、関連する研究施設や工場の立地につながり波及効果が大きいということで、平成28年に、通常の企業立地補助金のほかに、本社機能を移転する場合のオフィス賃料の補助金を創設して誘致に取り組んでいるところです。また、コロナ禍の影響による本社機能移転等の動向があり、本年度から、この補助金の補助率、そして限度額を引き上げておりまして、インセンティブを強化して本社機能の移転促進に取り組んでいるところでございます。本社機能の誘致につきましては、企画管理、それから情報処理など多様な部門の雇用を生み出しますので、女性を含む多彩な人材の雇用創出も期待できるということもございます。  引き続き、とちぎのいいもの販売推進本部とともに、各種セミナーや企業訪問などあらゆる機会を捉えまして、本県の優れた立地環境、それから支援制度などをアピールいたしますほか、大手不動産仲介業者と連携するなど、積極的に誘致活動に努めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 働く場所とか生活する場所とか、あらゆる生きていく場面で人々にとって、特に若い女性にとって栃木県の魅力とは一体何でしょうか。ここをもっと深掘りして事業を進めていくことが成果につながるのではないかなと思っています。ネガティブな面もポジティブな面も、表面的な当たり障りのない意見ではなくて、本音をしっかり聞いて事業に反映していただきたいと思っています。加えて、県庁内でも同様の観点を大切にしていただきたいと思っています。県庁自体も、県内企業の見本となるようにということです。山本元保健福祉部長以降、部長としてこの議場にいらっしゃる執行部の女性はいらっしゃらないのですが、女性幹部の育成にも努めていただきたいと思っております。  寛容性ということを今回出しましたけれども、それが全てではないと思います。ただ、女性が移住に結びつくように、数字に表れないファクターについて考えていただきますようにお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  本県におけるDXの推進について、総合政策部長にお伺いしてまいります。国では、昨年9月にデジタル庁が発足いたしました。現在、マイナンバーの利用やその活用を進めている中ですけれども、さらに、公民館の鍵をスマートフォンで開けられるというような議論もスタートしているようです。私たちの身近で、まさにデジタルトランスフォーメーション、DXという、ICTの浸透によって人々の生活があらゆる面でいい方向に変化していくということ、これを実感できる世界はもう目の前に来ていると思っています。さらに、このデジタル改革に関するアイデアを国民からウェブ上で広く募集して政策立案に生かしていくためのアイデアボックスが話題となっておりまして、登録者数は3,200名、アイデア数が3,300件に上っております。  本県でも、昨年からとちぎデジタルハブの取組をスタートさせました。これは地域の様々な課題とデジタルによる解決手法を持つ人とのマッチングを図っていって課題を解決するという仕組みです。例えば、これまでに那須烏山市の山あげ祭での活用だったり、カワウによるアユの食害対策、こういったことがとちぎデジタルハブによってプロジェクト化しました。知事の公約でもあって期待の声も大きいのですけれども、この事業の登録者数は145名、投稿された課題が13件になっていると伺っています。県民が自ら地域の課題を発見して自ら解決していくことができると実感していくこと、また、そうした実感がデジタルを活用したメリットによるものだと感じること、これらを満たした取組が広がっていくことは、本県のDXを加速度的に進めるものと思っています。そのためには、県民が既に利用しているSNSのアカウントとの互換性を持たせるなど使い勝手をよくしていくということも大切ですし、県のほかの部局でも地域課題のための事業は大小様々あって、それを実施しているわけなので、そうした事業並びにそれに関わっていただいているNPOや団体、専門家の方々にこのとちぎデジタルハブを知っていただいて参加を促していくということも重要で、そうした工夫はさらに必要ではないでしょうか。  そこで、本県DXの実現に向けて、デジタルを活用した取組へ県民等の参加を一層促進するとともに、そうした取組に対して、県の部局を超えて積極的に連携・協力していくべきと考えますが、どのようにお考えになりますでしょうか、総合政策部長にお伺いいたします。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。誰もがデジタル化の恩恵を享受できる豊かで暮らしやすい社会を実現するためには、県民が連携・協働してデジタルトランスフォーメーションの取組を進めていくことが重要であると考えております。昨年10月に開設いたしましたとちぎデジタルハブは、県民や企業等が県や市町の関係部局とも連携・協働しながら課題の解決に取り組むものであり、県民等がデジタル活用のメリットを感じるとともに、自発的な実践を促すことができるものであります。  地域の課題は複雑・多様化しておりますことから、とちぎデジタルハブの成果等も踏まえ、今後とも県民とより一層連携・協働していくとともに、知事を本部長とする栃木県Society5.0戦略本部における部局横断的なマネジメントの下、幅広い視点を持ちながら本県のデジタル実装を進め、地域の魅力向上や課題解決を加速させてまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) これまでの質問で申し上げていることのまとめのような要望になるのですけれども、やはりきちんと現状の把握をするということがまずは重要だと思っております。日向野義幸議員の知事答弁でもありましたが、県の施策の効果を最大化していくためには、効果の測定とデータの蓄積が重要ですけれども、最高マーケティング責任者だったりとかデジタルマーケティングアドバイザーというような外部の専門人材も登用しているわけですので、そういった方々も活用して県の施策に取り組んでいっていただきたい、そのように期待を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  危機的状況を踏まえた医師・看護師の確保について、保健福祉部長にお伺いしたいと思います。本県においては、栃木県保健医療計画(7期計画)や栃木医師確保計画に基づいて、中高生向けの職業体験、医学生向け修学資金貸与、医師登録制度、研修支援、勤務環境の改善支援など、医療を支える人材の確保と育成に取り組んでいます。しかし、現在、知事も代表質問の答弁でおっしゃられましたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、通常医療への負荷も高まり、医療人材の不足から救急医療などにも影響が出てしまっています。その影響は、感染症ではない通常医療の患者の搬送先がなかなか決まらない救急搬送困難事案が生じるなど危機的です。もともと医師・看護師不足の本県にあって、医療従事者を確保することの重要性を私たちは改めて痛感することとなりました。このような状況を踏まえますと、本県で医師を確保するための取組をさらに強化していく必要があるのではないでしょうか。
     そこで、本県で働いてもらうために、県立病院の数に目を向けますと、茨城県、群馬県、埼玉県でそれぞれ4か所、福島県では6か所となっているところ、栃木県は3か所となっております。そのため、キャリアの形成を重視していこうという医師に向けて本県が提供できるポストの数はかなり限られている状況である、つまり、本県で働きたいという医師がいたとしても、そのニーズに県は応えられていないということが現実にあると思います。栃木県医師会からは、救急災害医療並びに感染症対応をするための県立による医療施設の新設、並びに勤務医の確保として医師ポストの設置を要望するなど、具体的な案が示されました。また、看護師についても、県内の専門学校卒業生の7割が県内に就職するのに対して、県内の大学卒業者では3、4割にすぎないと言われています。こうした中、約1年後には、医師確保計画を含む保健医療計画の8期計画の策定作業が新たにスタートすると伺っています。  そこで、本県における医師・看護師の確保について、これまでの取組による成果をどのように受け止めていらっしゃるのか、また、このような感染症など危機的な状況にも対応することができるよう、公立・公的医療機関による受皿の確保など、医師・看護師のニーズに応えるために県として新たな施策を検討していくべきと考えますが、どのようにお考えになりますでしょうか、併せて保健福祉部長にお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。これまで本県の人口当たりの医師数及び看護師数は全国推移と同程度に増加しており、様々な取組の成果が着実に表れているものと考えております。一方で、今回の新型コロナウイルス感染症拡大時のように急激に医療需要が増大した場合にも柔軟に即応できる医療提供体制の構築に向けまして、医療従事者のさらなる確保が必要であると考えております。  県といたしましては、引き続き、修学資金を活用した医師・看護師の確保に努めるほか、本年1月に県外2か所に地域医療支援センターサテライトを設置し、受皿となる公的医療機関等の魅力発信や就職相談に取り組むなど、医師のUIJターン促進事業を開始したところであります。まずはこうした取組等を通じまして、将来の本県医療を担う核となる人材の確保を図りつつ、若い医師・看護師の定着に向けましてキャリアプランを的確に把握し、公的医療機関等と連携して必要な支援策を検討してまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) サテライトの話も出ましたが、予算を使って新たな事業をスタートしているわけですから、これも目標数を掲げるなど、きちんと結果を追求していっていただきたいと思います。  それから、要望いたしますけれども、県内の高校生が県外の医学部に進学して、県内の病院にどれだけ勤務しているのか、Uターンをしているようなデータも全然ないとお聞きしています。やはり教育委員会と連携して、そういったデータを集めるところから始めていただきたいと思います。県内の優秀な医学部志望の子供たちを県が一生懸命育てても、現状では東京中心の医療に貢献しているものというような懸念の声もあります。ぜひそのあたりのところをよろしくお願いいたしまして、次の質問に移ります。  いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会における環境配慮の取組とカーボンニュートラルについて、国体・障害者スポーツ大会局長にお伺いしてまいります。先月、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中でも、防止対策を徹底いたしまして、原則無観客でいちご一会とちぎ国体冬季大会が開催されました。当初の計画から大幅な変更を余儀なくされた中、開催に向けて準備を重ねてきた選手並びに職員、関係者の方々に敬意と感謝を申し上げたいと思っています。一方で、検査体制など、冬季大会の実施によって明らかになった問題も多々あると思います。それらの問題についての課題を整理し、秋の本大会・障スポ大会の成功に向けて改めて準備を進めていただきたいと思います。中でも私が注目しているのは、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会のテーマになっている環境配慮に関する課題の受け止めです。冬季大会では、日光アイスアリーナにおいて、太陽熱を利用した給湯システムで温水を整氷時に使用することでCO2を削減したと伺っています。また、表彰状を収める額とか、その額を持ち帰るための手提げの袋も紙製品にして脱プラスチックの取組を進めました。さらにユニフォームをエコ素材で作ったり、大会ガイドブックを電子版に変更したりと、様々な環境配慮の取組が実施されたわけです。  環境配慮について、栃木県議会においては、グリーン社会実現特別委員会で2050年カーボンニュートラルに向けた議論を重ねて、昨年、提言を取りまとめました。この提言等を踏まえて、県では2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ(案)を示したところであり、今年度中には策定されると伺っています。このような流れの中で、冬季大会、そして、本大会・障スポ大会において環境に配慮した取組の成果を本大会・障スポ大会が残す次世代へのレガシーとして残していくべきではないでしょうか。  そこで、環境配慮の取組について、冬季大会において明らかになった課題とは何か。また、そうした課題に対し来年度開催される本大会・障スポ大会に向けてはどのように対応しようと考えていらっしゃるのか、併せて国体・障害者スポーツ大会局長にお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長。    (橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長登壇) ◎橋本陽夫 国体・障害者スポーツ大会局長 ただいまのご質問にお答えいたします。冬季大会では、ガイドブックの電子化や表彰で使用するプラスチック製品の紙製品への変更など、様々な環境配慮に取り組んでまいりました。これらの取組につきましてはホームページなどで発信してまいりましたが、原則無観客での開催となったため、県民の方々を幅広く巻き込んだ取組を展開するには課題があったと認識しております。  今後は、SNS等も積極的に活用し、情報発信を強化するほか、県民の方々に不要となった衣類等を集めていただき、これをリサイクルして両大会の開閉会式で選手団を応援するグッズを制作する県民参加プロジェクトを実施し、環境配慮へのさらなる意識高揚を図ってまいります。さらに、本県独自の交付金制度を創設し、市町が行う環境配慮の取組や、そのPRへの支援を行うことにより、各競技会場を訪れる方々に対しても環境問題への関心等を高める場面を創出してまいります。  両大会における様々な環境配慮の取組がカーボンニュートラルの実現に向けた機運の醸成や県民の行動変容につながるよう取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 再質問いたします。国体・障スポ大会における環境配慮への取組は、障害者の方々やその関係者にも参加していただくことが重要と考えております。この件についてはどのようにお考えになりますでしょうか、再度、国体・障害者スポーツ大会局長にお伺いいたします。 ○佐藤良 副議長 橋本陽夫国体・障害者スポーツ大会局長。 ◎橋本陽夫 国体・障害者スポーツ大会局長 再質問にお答えいたします。ただいまの答弁で触れました県民参加プロジェクトでは、応援グッズの制作に際しまして、小中学校や特別支援学校の児童生徒に衣類等の回収にご協力いただきたいと考えております。また、県産木材を薄く加工したメッセージカードに、特別支援学校の児童生徒が一人一人、歓迎や応援の思いを載せて、これを全国から来県する障スポの選手団にお渡しする予定でございます。  こうした取組への参加を通じて、障害者の皆さんがおもてなしの心を養うとともに、環境問題を身近なものとして捉え、感じていただき、次世代の栃木へつながるよう取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 環境配慮というのは、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会両大会のテーマでもあるわけですので、障害者優先調達の例などもありますけれども、障害者の方々を含め、全ての県民で環境配慮の取組を進めていけたらと思います。保健福祉部や、また、先ほどおっしゃられた教育の分野、教育委員会との連携も進めて、さらに大きく動きを進めていただきたいと思います。要望とさせていただきます。  それでは、最後の質問になりました。栃木県の子どもたちがつくる未来について、教育長にお伺いしてまいりたいと思います。この数年、学校や子供たちを取り巻く環境は大きく変化いたしました。2019年度は、学校における働き方改革推進プランがスタートし、2020年度は、栃木県教育振興基本計画2025の策定により、栃木県の教育が目指す方向や2025年までに取り組む施策が掲げられ、2021年度、有識者による県立高校の在り方検討会議で提言がまとめられ、2022年度、新年度からになりますが、この提言の下、将来構想の策定に向けた本格的な検討に入ると伺っています。さらに、既に小中学校では実施されておりますが、高校でも新しい学習指導要領が実施されることとなっています。また、この数年を通しては、GIGAスクール構想によってICT教育が促進されました。新型コロナウイルス感染症等の影響により家庭学習でその活用が注目されておりますが、その一方で、これまで以上に子供たちの心身のケアも重要となっていると感じています。今後、10年、20年で半数近くの仕事は自動化される、あるいは、今の高校生は子供のときに存在しなかった職業に就く人が65%いるなどの調査も数年前から話題となっております。  そのような状況の中で、荒川教育長は、基本計画の挨拶の中でこのように述べられました。「現在、新型コロナウイルス感染症の終息はいまだ見えておらず、将来の展望を描きにくい状況にあります。このような中だからこそ、学校、家庭、地域が一体となり、子供たちが「なりたい自分」を描き、その実現を目指して、着実に「時間の足し算」をしていけるよう育てる。」  私もそのように信じておりますし、まずは自分がなりたい姿を描くこと、そして、その姿に向けて、失敗も成功も経験しながら、社会や知らない誰かに期待された大人の姿ではなくて、自分自身が期待する大人の姿を目指してほしいと思います。  全国的には、制服や校則を子供たちが自分で決めるという動きがあります。本県でもそうした動きが生まれておりまして、立場上は校則を守るように厳しくする側だったと述べる栃木県立高校の生徒指導部長が、性別に関係のない制服の選択や校則の見直しを提案したというニュースが話題になりました。このような事例は、まさに教育の現場が子供たちとともになりたい自分の姿の実現を目指した結果と受け止めております。  そこで、栃木県の子供たちがつくる未来の展望並びにそのために教育委員会が目指す姿についてどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、これまでのご経験を踏まえて、教育長にお伺いいたします。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。子供たちを取り巻く社会はかつてないスピードで変化を続け、先行きが不透明で予測困難な時代を迎えております。このような中、子供たちには、激しい時代の変化を前向きに受け止め、それぞれの感性や創造性を発揮しつつ、自らの可能性を最大限引き出せるような社会の実現を目指してほしいと考えております。私はこの3年間、命の大切さを第一に考え、教員と子供たちがこれまで以上にしっかり向き合える教育環境づくりに力を注ぐことで、子供たちが夢の実現に向けて、将来進むべき選択肢を増やしながら目指す未来を自ら描き、様々なことに挑戦できるよう応援してまいりました。  県教育委員会といたしましても、子供の視点に立ち、子供たちが自分のよさや可能性を認識し、様々な困難を乗り越えながらたくましく育ち、豊かな人生を切り開くことができるよう全力で取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 渡辺幸子議員。    (34番 渡辺幸子議員登壇) ◆34番(渡辺幸子議員) 教育長から答弁をいただきました。確かに大人は世代や立場で言葉を発します。例えば、それは先ほど申し上げた生徒指導部長として、あるいは子供の親だったり、あるいは、私は地域を代表した議員としてだったりするわけですが、その立場で物を言うというのは当然のことだと思います。でも、それを超えて、一緒になって目指す栃木県の教育の将来ビジョンの中では、親や議員よりも誰よりも、現場の教員や教育委員会が子供たちの一番の味方であっていただきたい、そのように心からお願い申し上げまして、私の全ての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○佐藤良 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後2時16分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は28名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後2時30分 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) とちぎ自民党議員会の小林達也です。今回は、県政の喫緊の課題である地方創生、とちぎカーボンニュートラルの実現、教育に関する諸課題を大きなテーマとして、発言通告に従い、順次質問してまいります。知事はじめ執行部の皆様には、明快かつ前向きなご答弁をよろしくお願い申し上げます。  初めに、地方創生についてのうち、人口動態を踏まえた今後の取組について、知事にお伺いいたします。昨年11月に2020年の国勢調査の人口等基本集計の確定値が発表されました。それによると、本県の人口は、2015年の前回調査から5年間で4万人以上も減少し、減少幅は過去最大となりました。市町別に見ると、さくら市、壬生町は、前回は増加でありましたが、今回は減少に転じ、宇都宮市と下野市の2市のみが人口増加で、その他23市町は人口減少となりました。JR宇都宮線沿線の市町は減少幅が小さい傾向にありますが、中山間地域の市町などは厳しい状況になっております。この人口動態を詳細に見てみると、宇都宮市は人口増加であるものの、旧市町別では、旧宇都宮市は人口増加ですが、旧上河内町、旧河内町は人口減少となっています。また、私の地元県北地域では、那須塩原市、大田原市はともに人口減少でありますが、那須塩原市の中では、旧西那須野町よりも旧塩原町のほうが人口減少率が大きく、大田原市の中では、旧大田原市よりも旧黒羽町のほうが人口減少率が大きくなっております。このように、市町間で人口の地域格差が生じているのに加え、各市町内においても人口の地域格差が生じている状況です。また、今後を展望しても、おおむね20代などの若い世代の県外転出が多い上に、コロナ禍の影響と見られる若い世代の出産控えや結婚控えなども起きているなど、人口減少はますます加速すると思われることから、人口減少による地域の活力低下、担い手不足に私は強い危機感を抱いているところでございます。  今後も地域の活力を維持し、住みたい、住み続けたいと思えるようにしていくためには、県としての取組を進めるほか、市町とこれまで以上に連携し、各地域の実情を市町とともに丁寧に把握し、地域の実情に応じた取組をさらに支援していくことが必要であると思います。  そこで、県は、県内の人口動態を踏まえ、今後、人口減少対策にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの小林達也議員のご質問にお答えいたします。人口は地域の活力の源泉でありますことから、県では、とちぎ創生15(いちご)戦略に基づき各種施策を積極的に推進してまいりましたが、依然として合計特殊出生率に明らかな改善は見られず、また、新型コロナウイルス感染症により減少傾向となっているものの、若者や女性を中心に人口転出も続いております。  そこで新年度は、結婚への機運のさらなる醸成を図るため、発信力のある著名人を結婚を後押しするアンバサダーに任命し、SNS等を通じて結婚に踏み出すきっかけとなるような発信を行うほか、出生率に関連があるとされている男性の家事力向上をテーマとした啓発冊子の作成等を進めるなど、若者等が結婚や出産、子育ての希望をかなえられるよう環境づくりに取り組んでまいります。  一方、コロナ禍におきまして人々の意識や行動に変化が生じており、地方移住への関心が高まっていることから、とちぎ暮らし・しごと支援センターの相談体制の拡充や、栃木で働くことの魅力発信の強化など、本県への移住につなげる取組を展開してまいります。さらに、東京圏在住の若年女性へ向けた移住セミナー等を実施するほか、お試しテレワークやサテライトオフィスの設置を推進するとともに、企業に対するワーケーション体験への助成を行うなど、東京圏に近接する本県の強みを生かした移住・定住の取組を加速させてまいる考えであります。また、人口減少下にあっても、住み慣れた地域において暮らし続けることができるよう、人口減少が著しい中山間地域につきましても、日常生活に必要なサービスの確保等を図る小さな拠点の形成や団体等による広域的な地域づくり活動を助成するなど、引き続き、地域課題の解決に向け、市町の実情に即したきめ細かな支援を行ってまいります。  今後とも、各地域が将来にわたり活力を維持するため、これまで以上に市町等と緊密に連携・協働しながら、人口減少対策に万全を期して全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 知事から答弁をいただきました。人口減少対策は、地方創生の一丁目一番地であります。人口減少という現実に正面から向き合い、地域社会を持続させるためのあらゆる取組を危機感を持って加速していただきますようお願い申し上げます。また、市町の中でも地域によって人口動態には違いがあることから、NPOや地域住民との協働による行政サービスの提供など、各地域の実情に合った住みやすい地域づくりに向けて知恵を絞る必要があると思います。県には、各地域の実情を丁寧に把握するとともに、各市町が抱える地域課題の解決に向けて、地域住民や市町、企業、大学、地域団体などの様々な関係者を巻き込みながら、より多くの人が主体的に地方創生に関われるような仕組みづくりに率先して取り組んでいただくよう要望し、次の質問に移ります。  移住・定住の促進について、総合政策部長にお伺いいたします。人口減少、少子高齢化などにより、地域経済の活力低下や地域の担い手不足は深刻な状況にあります。地方への人の流れをつくり出していくことがこれまで以上に求められております。  県では、これまで市町と協力、役割分担の下、相談窓口の設置や各種フェアへの出展などにより移住・定住の促進を図ってきたところであります。こうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、出社が当たり前であった企業の働き方が見直され、在宅勤務などのテレワークの普及が進んだことにより地方への人の流れが起きつつあります。これまで地方への移住は仕事の確保がネックとなっていましたが、リモートワーク、テレワークの拡大により、転職しないで移住ができるようになったことは、移住・定住を進める地方自治体にとって絶好の機会であると考えます。また、移住希望者の仕事に関する考え方も変わってきている可能性があり、移住先においても希望を満たす仕事を探しやすくなっているのではないかという指摘もあります。こうした地方への人の流れに関する潮流を的確に捉え、今後、移住・定住をこれまで以上に促進していくためには、充実したテレワーク環境の整備など、移住・定住希望者の多様なニーズに的確に応えられるようにすることが必要であり、県庁内の各部局の連携はもとより、県、市町が一体となり各種メニューを取りそろえるなど、地域の提案力を高めていくことが重要であると考えます。そして、そうした情報を効果的に発信していくことがより重要になってきていると考えます。  そこで、県はこの好機を逃すことなく、今後、移住・定住をどのように促進していく考えか、総合政策部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。テレワークの普及等を本県への移住・定住につなげていくため、県では、テレワークを体験する際の経費の一部を助成するとともに、テレワークに利用可能な物件や家賃、通勤費補助等の市町の移住支援策など、移住の検討に役立つ情報を積極的に発信してまいりました。こうした取組等もあり、昨年の都内移住窓口への相談件数は過去最多を記録したほか、国の交付金を活用した移住支援金についても、テレワーカーを中心に申請が大幅に増加しているところであります。  引き続き、市町によるサテライトオフィス整備への支援や、地域の移住・ワーケーションツアーなどの情報について、デジタル技術を活用した効果的な発信に努めるとともに、新年度からは、増加する相談や多様化するニーズによりきめ細かに対応するため、都内窓口の相談員を増員するほか、県内企業への就職を支援する企業訪問員を県内に配置するなど、支援体制の充実・強化を図ってまいります。  今後とも、庁内各部局や市町、関係団体等と密接に連携しながら、本県への移住・定住のさらなる促進に向け、取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 地方への人の流れが起きておりますので、ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思います。  ここで、総合政策部長に再質問いたします。移住・定住において、選ばれるとちぎを目指していくためには効果的な情報発信が重要であります。例えば、テレワークを活用した東京圏からの移住については、東京圏への通勤頻度によって対象となり得る地域は異なります。ネット環境があればどこでも仕事ができる人や、月に数回程度東京圏に通う人であれば、本県のどの地域でも移住先となり得ます。また、週に数回程度と頻繁に東京圏に通うということであれば、ある程度、鉄道沿線ということで対象地域も限られてくると思います。このように、どのような人をターゲットとするのかによっても情報発信する内容は変わってきます。また、移住希望者だけへの情報発信だけでよいのかという問題もあります。大手企業に地方移住を認める動きも見られ始めていることから、本県の認知度向上のためには、例えば、県外のIT企業などに対して情報提供を強化するという方法もあると思います。  そこで、移住・定住に関する今後の情報発信についてどのように取り組んでいく考えか、総合政策部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。県では、AIなども活用しながら、デジタルマーケティングの手法によって、移住に関心のあるテレワーカー、それから企業等に東京圏への良好なアクセスなど、本県の優位性について効果的な情報発信などを行っているところであります。さらに、市町と連携して、テレワークやワーケーションなどの移住希望者のライフスタイルに合ったような情報提供など、そういったものでのセミナーを開催するなど、移住・定住の促進について幅広い情報提供などを行って内容の充実などを図っているというところであります。  引き続き、デジタル技術を積極的に活用しながら、移住希望者や、それからテレワークなどを検討している企業などに向けまして必要な情報を効果的に発信してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 多くの人から本県を選んでもらうためには地域の魅力が欠かせません。地域の魅力を高める取組を一層進めるとともに、住みやすい町、暮らしやすいまちづくりをしっかりと行っていただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。  コロナ禍の収束後を見据えた観光振興策について、産業労働観光部長にお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大の影響等により、観光需要は落ち込み、県内の観光産業は厳しい状況に置かれております。これまで感染状況が落ち着いていた際には、国のGo Toトラベル事業や、県の県民一家族一旅行推進事業による需要喚起等により、一時的に旅行需要の回復が見られたものの、感染の再拡大等により観光需要は減少し、需要落ち込みは長期化しております。県が2021年5月に公表した2020年観光客入込数・宿泊数推定調査結果によれば、県内観光客入込数は前年比33.7%減の6,116万8,000人、宿泊数は38.6%減の506万9,000人であり、東日本大震災が発生した2011年よりも大きな落ち込みとなりました。2021年についても厳しい状況が予想されます。その上、1人当たりの旅行消費額が大きい訪日外国人旅行の再開も当面見通せず、また、人口減少、少子高齢化の影響等により国内需要の飛躍的な拡大も見込めないことから、地域経済の一層の活力低下が懸念されるところです。こうした厳しい状況にある中、私は、コロナ禍の収束後を見据えた観光産業の再生に向けた準備を始める必要があるのではないかと考えております。令和3年度の観光白書では、新型コロナウイルス感染症がもたらした観光トレンドの変化として、県内など近隣地域内での観光、いわゆるマイクロツーリズムの割合が増加しているなどの旅行形態の変化や、1つの地域に滞在し、文化や暮らしを体感し、じっくり楽しむなど、新しい旅のスタイル等について指摘しています。  こうしたことを踏まえ、私は、今こそ体験に価値を見いだすコト消費を観光振興策の中心に据え、稼げる体験型の観光商品の開発や、地域に埋もれた観光資源の発掘、磨き上げによる新たな観光コンテンツの創出などに取り組むべきと考えます。こうしたことにより旅行者1人当たりの消費単価を引き上げ、観光産業の再生、ひいては地域経済の活性化につなげていくことが重要であると考えます。  そこで、コロナ禍の収束後を見据え、県は今後どのような形で観光振興に取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして県内観光地は大変厳しい状況にあり、今後の観光振興に向けましては、観光需要を喚起し、より多くの誘客を図りますとともに、1旅行当たりの観光消費額を引き上げる取組も必要と考えております。このため、観光誘客の促進に向けましては、現在もSNSのターゲティング広告等によりまして本県への来訪意欲の醸成を図っておりますが、感染収束を見据えながら交通広告やデジタルメディア等を効果的に活用し、観光プロモーションを積極的に展開いたしますとともに、今後、新たなGo Toトラベル事業等にも取り組んでまいります。また、観光消費額の向上に向けましては、ウェブマップの情報発信強化によりまして旅行者の周遊性向上に取り組みますほか、コロナ禍によりますニーズの変化を捉えましたパラグライダーや熱気球など自然の中でのアクティビティーや、益子焼の絵つけ体験など、本県ならではの魅力的な体験コンテンツの充実を図ってまいります。  引き続き、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、本県観光産業の早期回復とさらなる振興に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) ただいま産業労働観光部長から、1旅行当たりの消費単価を引き上げる取組が必要であるとの答弁もいただきました。観光白書によれば、新型コロナウイルス感染症の収束後、旅行意識として、これまで以上に旅行に行きたいという割合が増加しているとのことです。こうした観光需要を本県への誘客につなげていく必要があると思います。  ここで、産業労働観光部長に再質問いたします。地域経済の活性化のためには、いかに観光客の旅行消費額を上げていくかが重要であります。本県は、豊かな自然、長い歴史の中で培われた文化資源など、誇れる地域資源を数多く有しています。それらは県民にとっては当たり前のものでありますが、それらを観光資源として捉えることができる力を養うことが必要です。本県の観光振興に携わる人材の育成にも取り組む必要があると思いますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。人材の育成は、観光の分野におきましても非常に重要と考えております。このため、今年度は県内の観光事業者、それから、市町及び市町の観光協会の職員等を対象にいたしまして、「選ばれ続ける地域になるためには」をテーマにした全5回の観光業担い手育成セミナーを開催しているところでございます。このセミナーの中では、国内外の様々な事例を基にいたしまして、顧客満足度を向上させることが客単価の増加につながること、また、来客数を伸ばすことだけではなく実質的な収益性を考えた取組の重要性を説くなど、観光消費額の増加に向けた内容にもなっているところでございます。  今後も、こうした取組等によりまして地域の観光振興を支える多様な人材の育成に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 顧客の満足度を上げるための取り組みというところは必要だと思います。魅力的な観光コンテンツを立案、実施できる人材確保・育成に努めていただくようお願いいたします。  観光庁が先日公表した2021年の日本人国内旅行消費額の速報値によれば、日帰り旅行の1人当たりの旅行単価は前年比5.9%増の1万7,564円で、2010年以降で最も高くなり、近場で食事や買物を楽しむ消費傾向が見られるとのことです。この潮流を捉えて、県としても積極的に需要を取り込んでいく必要があると思いますので、魅力ある観光商品を開発して本県への誘客につなげ、観光産業の再生や地域経済活性化につなげていただくよう要望し、次の質問に移ります。  森林環境譲与税の有効活用について、環境森林部長にお伺いします。県土の約54%を占める森林は、水源の涵養、地域温暖化の防止、レクリエーションの場の創出など、多くの公益的機能を有しております。県では、こうした森林の持つ公益的機能の重要性に鑑み、元気な森を次世代に引き継いでいくため、荒廃した森林の整備などを目的として、2008年度からとちぎの元気な森づくり県民税を活用した森林整備を進めてきております。また、2019年度には国の森林環境譲与税が創設され、県や市町への配分が始まりました。両税が有効に活用されることで森林の公益的機能が持続的に発揮されるとともに、森林資源の循環利用、木材利用の促進、人材の育成・確保などの取組が一層進むことを期待しているところであります。
     しかし、今般の新聞報道によれば、県や市町に森林環境譲与税として配分された資金が積み立てに回されたまま十分に活用されていないとのことでありました。2019年度及び2020年度の2年間で配分された額は、県で約1億6,000万円、25市町の合計で約8億円であり、そのうち未執行額は、県においては約4割に当たる7,000万円、市町全体では約7割に当たる約5億5,000万円になっており、特に市町における未執行額が多い状況になっております。私は、各市町に配分された資金が目的もなく積み立てられるのではなく、長年管理されていない森林の整備や木材利用の促進などに積極的に活用することが森林環境譲与税の趣旨に沿うものであり、地域経済の活性化、地域活力の向上等の観点からも重要であると考えております。  そこで県は、今後、市町における森林環境譲与税の有効活用について、どのような支援や助言を行っていくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。森林環境譲与税は、適切な管理が行われていない森林を市町村が主体となって整備を行う森林経営管理制度の運用はもとより、木材利用や人材育成など様々な取組に活用することが可能でありますことから、森林の公益的機能の持続的な発揮に向けて、これを積極的に活用していくことが重要であります。  このため県では、市町の取組を専門的、技術的に支援いたします公益社団法人とちぎ環境・みどり推進機構の組織体制の強化に加え、出先機関の林業普及指導員による地域の課題やニーズ等の実情に応じた具体的な助言を行いますとともに、県の譲与税も活用いたしまして市町に対する先進事例の紹介や研修会を実施するなど、きめ細かな支援に努めてきたところでございます。これらの結果、現在、24の市町で森林経営管理制度に基づく間伐などの実施に向けた具体的な準備が行われますとともに、小学校における木製机の設置等を通じた木育の充実が図られるなど、今年度には全ての市町で取組が進められる見込みとなっております。  今後とも、農山村部、都市部それぞれの地域特性に応じて、市町が森林環境譲与税を有効活用できるよう積極的な支援に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) ただいま環境森林部長から答弁をいただきました。今年度中には全ての市町で取組が実施される見込みとのことですが、各市町の実情に合った県の積極的な支援をお願いしたいと思います。また、県においても約7,000万円の未執行額がありますが、これは市町への支援や、2024年開校予定の林業大学校の施設整備に活用されると聞いております。計画的かつ着実に取り組んでいただくよう要望いたします。  県が2019年に実施したとちぎの元気な森づくり県民税のあり方に関する調査結果によれば、県民税と森林環境譲与税の両税を活用した森林整備について、県民の約8割が「必要」と回答しております。森林の公益的機能を持続的に発揮していくために、国民や県民から託された税金を有効活用していくことが求められていると思います。森林環境譲与税は、昨年度の2020年度は県内の市町全体で約5億円が配分されましたが、2024年にかけてさらに増額されることが決まっております。森林整備による森林機能の向上、そして、税を地域経済に回すことによる地域活性化にも期待できることから、積極的に活用できるよう市町への支援を要望し、次の質問に移ります。  とちぎカーボンニュートラルの実現に向けた取組についてのうち、再生可能エネルギーの導入拡大について、環境森林部長にお伺いいたします。自然災害の頻発化、激甚化、農作物の品質低下など、地球温暖化による気候変動の影響は様々な分野に及んでおります。国は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、本県においても、知事が同年12月に2050年のカーボンニュートラル実現を目指すことを宣言しました。県は、その目標達成に向け、温室効果ガス排出実質ゼロまでの工程表として、先般、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ案を公表したところです。そのロードマップ案では、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比50%削減するという国を上回る目標が掲げられております。カーボンニュートラルの実現に向けた取組として私が注目するのは、再生可能エネルギーの導入拡大であります。化石燃料の代替による温室効果ガスの排出削減に寄与するだけではなく、地域での雇用の創出や活性化、また、災害等の停電時におけるエネルギーの供給源にもなることから、再生可能エネルギーの導入拡大は今後ますます重要になると考えております。  これまで県では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、太陽光パネル設置への支援など取組を進めるとともに、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ案においても、重点プロジェクトの一つとして、太陽光、水力、森林等の地域資源を積極的に活用して再生可能エネルギーを最大限導入するとしています。本県は、太陽光、小水力、地熱など、再生可能エネルギーの高いポテンシャルを有しております。これまで以上に積極的に導入拡大していくことを期待しております。  そこで、県は今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、どのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。再生可能エネルギーの導入拡大は、脱炭素化はもとより、地産地消化を進めることによりまして、地域新電力会社等による雇用の創出や地域経済の活性化、災害時の電源としての活用などにつながる重要な取組であると考えております。このため、ロードマップ案におきまして、地域資源を活用した再生可能エネルギーの最大限導入を重点プロジェクトとして位置づけ、新年度は、導入目標や具体的施策を盛り込んだアクションプランを策定することとしたところでございます。また、現在実施中の再生可能エネルギー賦存量調査の結果を踏まえ、県や市町、エネルギー事業者等で構成するプラットフォームを新たに立ち上げ、地域課題の解決と促進区域の設定に取り組みますとともに、県自らも県有施設への計画的な太陽光発電設置に向けて調査に着手することといたしました。  今後とも、本県が有する太陽光、水力等の地域資源を最大限に活用しながら、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、積極的に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) ただいま環境森林部長から、県や市町、エネルギー事業者等で構成するプラットフォームを立ち上げるとの答弁もいただきました。プロジェクトの推進に当たり、県では、中長期的な全体目標の設定や具体的方策を検討し、マイルストーンや実現に向けた取組を盛り込んだ新たなアクションプランを策定するとしております。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、具体的な目標や取組を盛り込むことをお願いいたします。また、2050年とちぎカーボンニュートラルの実現のためには、再生可能エネルギーを最大限導入していくことが必要であり、県や市町など地方公共団体の取組に加え、民間企業の協力も得ながら官民一体となって進めていく必要があります。そのためにも、県が全庁一体となり推進していくことが求められていると思います。本県では、小水力や太陽光などがポテンシャルを有しております。これらの再生可能エネルギーの発電に前向きに取り組む民間企業を全力で応援するのが推進役としての県の役割であり、県として可能な限り規制を緩和し、民間企業が取り組みやすい環境を整備することが必要であると思います。また、民間活力を取り入れていく必要もあると考えております。栃木県がカーボンニュートラルの先進県となるよう、国へも規制の緩和を働きかけ、民間企業が取り組みやすい、挑戦しやすい環境整備を進めていただくよう要望いたします。また、その際、留意しなければならないのは、景観悪化や環境破壊、土砂災害などの災害誘発につながらないようにすることであり、自然と調和した形で進められるよう県の指導も併せて要望し、次の質問に移ります。  先ほど再生可能エネルギーの導入拡大について環境森林部長に伺いましたが、企業局のカーボンニュートラルの実現に向けた取組について、企業局長にお伺いいたします。電気事業を行う企業局は、長年、再生可能エネルギーである水力を活用して電力供給を行っており、発電に関するノウハウが蓄積されていることから、再生可能エネルギーの最大限導入に率先して取り組むことが重要であります。また、本町合同ビル等の施設管理者でもあることから、県庁の脱炭素化、カーボンニュートラルの実現に向けて果たす役割はとても大きいものと考えております。企業局は、県内企業向けにCO2フリー電気を供給するとちぎふるさと電気の販売を通じて、県内事業者の温室効果ガス排出量の削減のみならず、奥日光におけるEVバスの導入など、県の環境保全事業の推進に貢献していると承知しております。私も今後の企業局の取組に非常に期待しているところであり、また、存在価値を高める絶好の機会であると思います。  そこで、企業局は、再生可能エネルギーの最大限導入に向け、今後どのように取り組んでいく考えか、企業局長にお伺いします。また、企業局が所管する施設について、カーボンニュートラルの実現に向け、どのように取り組んでいく考えか、併せてお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 琴寄行雄企業局長。    (琴寄行雄企業局長登壇) ◎琴寄行雄 企業局長 ただいまのご質問にお答えいたします。企業局では、これまでダムや取水堰を活用した水力発電を行ってきており、特に近年は生活用水路などを活用した小規模な水力発電についても開発してまいりました。また、現在は、既存発電所の発電量の増加を目的として、風見発電所及び深山発電所の全面改修や、発電効率の高い水車や発電機の計画的な導入を進めているところでございます。  引き続き、水力発電の開発可能性について調査検討するとともに、水素など次世代エネルギーの導入可能性を研究しながら再生可能エネルギーの導入拡大に努めてまいります。また、施設管理者として、本町合同ビルのいわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ビル化を目指した省エネルギー設備等の導入や、水道事業の浄水施設への太陽光発電設備の設置等についても幅広く検討してまいります。  今後とも、カーボンニュートラルの実現に向け、あらゆる可能性を探りながら、積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) ただいま企業局長から、水力発電の開発可能性について調査検討するとともに、水素など次世代エネルギーの導入可能性を研究していく等の答弁をいただきました。カーボンニュートラルの実現に向けて、企業局が担う電気事業の役割も社会的に大きな意義を持つようになってきました。水力発電でつくられるとちぎふるさと電気は、純国産で地産地消、CO2フリーのクリーンなエネルギーであり、料金の一部が環境保全事業に充てられることから地域貢献にもなるという全国に誇れる取組です。もっと県民や企業に効果的にアピールし、導入拡大に努めてほしいと思います。あわせて、企業局には、とちぎカーボンニュートラルの実現に向けて、他部局とも連携しながら、また、企業局が県庁の先頭に立って進めていくという意気込みを持って取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。  教育に関する諸課題についてのうち、今後の部活動の在り方について、教育長にお伺いいたします。中学校や高校における部活動は、教科学習とは異なる集団での活動を通じて、人間性や社会性を身につけ、生徒の多様な活躍の場となるなど、豊かな学校生活を送る上で重要な意義を有していると考えます。しかし、指導に携わる多くの教員が競技等の経験を有していないことや、教員の長時間勤務の要因の一つとなっているなど、生徒、教員の双方にとって望ましくない状況も生じているとのことです。こうしたことを受け、国は、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革を取りまとめ、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を進めるとの方針を打ち出しました。その具体的な方策として、地域人材の確保や費用負担の在り方、運営団体の確保などの課題に総合的に取り組むため、全国各地の拠点校で実践研究を実施し、その成果を普及することで休日の地域部活動の全国展開につなげる事業を立ち上げました。  本県では、矢板市と佐野市の中学校2校が拠点校として実施しており、県教育委員会においても部活動改革検討委員会を開催し、2校の事例についての成果と課題を検証するとともに、それらを踏まえ、具体的な支援策を検討するとしています。令和5年度から地域移行を進めるとなると、早期から移行に向けた準備を進めていかなければならないと考えます。しかし、受皿となる地域において、人材の確保はできるのか、指導の一貫性は保たれるのか、費用負担などの保護者の理解は得られるのか、困窮する世帯が除外されないかなど、多くの課題が想定されることから、拙速に移行を進めるのではなく、生徒にとって望ましい環境をどのように実現していくかに主眼を置いて丁寧に取組を進めていく必要があると考えます。  そこで、県教育委員会では、今後、中学校における休日の部活動の地域移行にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。部活動は、体力や技能の向上のみならず、人間形成の機会や、多様な生徒が活躍できる場として教育的意義の大きさが認められてきましたが、専門性のある指導者の不足や教員の負担等が課題となっております。  本県が部活動改革に向け実施しております国のモデル事業では、生徒や学校等から、指導が分かりやすい、教員が休日に休めるようになったなど肯定的な意見がある一方で、指導者の人材確保、施設の円滑な使用や保護者の費用負担など様々な課題も報告されております。新年度は、このモデル事業の継続に加えまして、新たに各地域の実態に応じた支援策を提示できるコーディネーターの派遣や有識者を招いた協議会の開催などにより、事業の成果を県内へ普及していくこととしております。  今後とも、休日の部活動の段階的な地域移行を進め、生徒にとって望ましい持続可能な部活動の実現に向け、取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 新年度は各地域へのコーディネーターの派遣や有識者を招いた協議会の開催を行うとのことですが、運営団体、学校関係者、保護者などとしっかり連携しながら、生徒にとって望ましい部活動の実現を図ってほしいと思います。  ここで教育長に再質問いたします。中学校の部活動に関わりたいと思っている指導者がいる場合には地域移行への取組はスムーズにいくと思いますが、そうした指導者や受皿となる団体がない場合に地域移行ができるのかと危惧するところです。  そこで、具体的な支援の在り方は今後検討していくことになると思いますが、地域の受皿整備、指導者等の人材確保、育成についての県の取組について現時点でどのように考えているのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。今年度から全国的に実施しておりますモデル事業につきまして、主な担い手は地域のスポーツクラブ、あるいは競技団体でありまして、それに伴いまして、指導に当たっている人材というのは総合型スポーツクラブや競技団体の指導者となっております。  今後、コーディネーターを活用しながら、特に中学校において、総合型スポーツクラブとの接点というのは今まであまりなかったということもありますので、総合型スポーツクラブと学校とが連携できるような仕組みづくりを進めますとともに、人材の確保・育成につきましては、地域の実情によっておのおの異なりますので、市町や関係団体と連携の上に、その方策をしっかりと検討していきたいと思っております。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) 今、教育長の答弁にもありましたように、地域の実情は異なっていることから、生徒にとって望ましい環境をしっかり整備していただくよう要望いたします。私は、部活動が地域に移行され、地域に子供が出てくることで、地域コミュニティの活性化にもつながるのではないかと期待しています。過疎地域における人口減少、都市部における地域の人間関係の希薄化、最近では、コロナ禍による地域行事の中止などにより地域住民の交流機会は減少しております。部活動の地域移行により、生徒やその家族、地域住民等が部活動に参加し、部活動を通してつながることで新たな交流が生まれ、地域コミュニティの活性化になると期待しているところです。県には、地域部活動が持続的な制度となるよう、地域の実情に応じた部活動の在り方について多角的な視点を持って丁寧に進めていただくよう要望し、次の質問に移ります。  最後に、いじめ対策の取組強化について、教育長にお伺いします。全国では、いじめを訴えて自殺するなど深刻な被害が後を絶ちません。文部科学省は昨年10月、令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表しました。それによれば、全国の小中高等学校、特別支援学校で認知されたいじめの件数は、昨年度より9万5,333件減の51万7,163件で、2013年度以来の減少となりました。県内公立学校でのいじめ認知件数は前年度比1,355件減の4,521件で3年ぶりに減少しましたが、これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大による長期休校などの影響で、いじめにつながる対面での交流機会が減ったことなどによるものとされております。一方で、ネットいじめが増加しております。いじめが減ったことにより、いじめの認知件数が減少したのであればよいのですが、教職員が感染対策に追われ見逃されたことによる減少でないことを願うところです。  いじめは誰にでも起こり得るという前提に立って、早く気づいて、深刻化する前に対処していくことが重要であります。パソコンやスマートフォンを使ったネットいじめなど、目に見えにくく、認知しづらい事案も多くなってきていることから、これまで以上に児童生徒の異変を見逃さないよう、きめ細かな対応をしていく必要があります。あわせて、教師が毅然と対応していくこと、また、学校が組織的に対応していくことも重要であります。  そこで、県教育委員会では、今後、いじめ対策にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。ネットいじめの増加など、複雑化、潜在化するいじめの問題に適切に対応するためには、教職員が児童生徒の些細な変化を見逃さず、早期に発見し、組織として対応することが重要であります。このため、定期的なアンケートによるいじめの積極的な認知や、ネットパトロールによる誹謗中傷投稿の早期発見などに取り組むとともに、SNSを活用した相談事業の対象を県内全ての中高生に拡大し、早期対応に向けた取組の充実を図ってまいります。また、いじめの認知や対応の在り方等を示したハンドブックを教員研修等で活用するほか、いじめ・不登校等対策チームを学校へ派遣するなど、各学校の組織的対応力の向上に努めていくこととしております。  今後とも、教職員一人一人がこれまで以上に危機意識を持ち、児童生徒の異変を見逃すことのないよう、市町教育委員会と連携しながら、いじめ対策の取組強化を図ってまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) ただいまいじめ対策について答弁いただきましたが、教育長に再質問いたします。先ほど質問でも申しましたとおり、ネットいじめが増加しているとのことです。GIGAスクール構想によって1人1台の端末が配備されましたが、それがネットいじめの増加につながらないよう、情報モラル教育を充実させていく必要があると思います。  そこで、情報モラル教育にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。教育委員会では、ネットトラブルの未然防止のために情報モラル指導資料を策定いたしまして、教育活動のいろいろな場面で指導の充実が図れるよう活用しているところでございます。  ご指摘のように、1人1台タブレット端末が導入されることになっており、今後、情報機器の活用機会が一層増えることを踏まえまして、ネットいじめの増加につながらないようチャット機能を制限するなど、会議や研修等の機会を活用しながら、情報モラルのさらなる醸成に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林達也議員。    (14番 小林達也議員登壇) ◆14番(小林達也議員) いじめが起きない環境づくりが大切であり、自分の大切さとともに、他の人の大切さを認める人権教育を一層推進していくことも重要であると思います。また、相談したら何とかしてくれるという信頼感を親や教職員が日頃からいかに得ていくかも重要であります。地道ではありますが、こうした取組を継続していく必要があると思いますので、しっかりと取り組むことを要望いたします。  子供がいじめに遭うと家族までつらくなります。いじめは決して許してはいけません。朝起きて、学校への一歩がどうしても踏み出せない子がいるのです。今、学校は6時間目の授業中です。教室の自分の席に座ってはいるものの、顔を上げて前の黒板を見ることができず、下を向いて自分の机しか見ることができない子供たちがいるのです。栃木の未来ある子供たちにもうこれ以上、悲しい思い、つらい思いはさせない、子供たちが被害者にも加害者にもならないよう大人全員が子供を守るという強い決意を持って共に取り組んでいきましょう。  以上で私の質問は全て終了です。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。明日25日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後3時28分 散会...